心の置き方

 

               岩生 百子

 

 おもしろい書籍と出会った。

 森田 健さんの、『運命を変える未来からの情報』(講談社)という書籍。

自分とはいったい何か? 私が今ここに存在する意味とはなんだろう? どこから来てどこへ行くのだろう?

 常日頃、そんなことばかり考えていた私にとって、必然的に手元に届いた書籍かもしれない。

著者の森田さんは、上智大学電気電子工学科を卒業し、富士通で働くエンジニアだった。それが、ある日突然、「退職しなければ」と訳もなく思い、その直感のまま退職した。半年間、失業保険で生活し、その後、自分の専門分野を生かせるからという理由だけで、コンピューターソフト会社を設立した。が、設立十年後に、その会社も権限委譲をし、部下にすべてを任せ、「不思議研究所」なるものを設立した。それも、このままではいけないという漠然とした思い、不思議研究所なるものを設立しようという、インスピレーションだけで決断したというのだ。

仕事は、すべてうまくいっていた。独立した後も、翌年からはずっと黒字経営だったという。

このことを、森田氏は、未来からの情報=直感と言っているが、たぶん、理論理屈だけがすべて、形あるものだけを信じている方には、わかってもらえないことかもしれない。

実は、私にも森田氏と同じような経験がある。私は、過去何度か職を変えているが、ある日突然、「このままではいけない」とか、「もう、この仕事をしていてはいけない」とう思いに駆られ、その場を去っている。仕事が飽きたとか、いやだとか、そんな理由ではない。充実していて楽しいと思える仕事であっても、それは突然にやってくる。

その頃は、まだ、人生の目標もなかったし、生きる意味や使命といったことも考えてはいなかったけれど、今になって思えば、現在の自分にたどりつくまでには、必要・必然的なことであったということがよくわかる。あのまま、直感を無視して生きていたなら、全くかけ離れた場所にいたに違いない。

それが、なぜか、不思議な理屈ではわからない経験だった。なぜかわからないけれど、その直感に任せて決断すれば、なんとなくうまくいくということを、私は感覚的に知っていたのかもしれない。

さて、森田氏の著書の内容だが、森田氏はもともと、神はいるのか、世界とは、時空とは何なのか…ずっと考えていた。それが不思議研究所を設立した理由でもあるらしい。

これまで、自分の運命を変えるのは、内面だと言われてきた。多くの成功哲学書にはどれにも、「心で思ったことがその通り実現する」と書いている。 良いことを思えば良いことが起き、悪いことを思えば悪いことが起きる。だから、自分の人生を成功に導きたいなら、プラス思考で生きよと。

 確かに、その通りだ。しかし、内面ばかりに気をとられていると、外側で起こった雨の音を聞き逃すよと、森田氏は書いている。

 宮本武蔵と柳生石舟斎との試合のシーンで、武蔵は鬼のような形相で斬りかかるが、石舟斎は力任せの武蔵を風のように避け、最後はその木刀を振り払うというのがある。その後、石舟斎は、「勝負中に、風の音を聞け。鳥の声、水の音、それを知らずして剣の腕だけ磨いてもだめだ」と言う。

 願望は紙に書くとよいと言われるが、あまり頻繁に書きすぎるとかえって実現しないという。ポイントは、書いてそれをしまい込んだら、「忘れること」。願望ばかり考えている人は、鳥の声が聞こえなくなるからだ。

 内側と外側の信頼関係で、シンクロニシティも起こりやすい…というか感じやすくなるのだと思う。シンクロニシティ=意味ある偶然の一致現象は、普通、物事が起こるのは、原因と結果の因果関係であるが、それだけで説明できないものと言われる。

 この書籍には、他にも中国の考古学者が発見した最古の「占い書」のコインを投げて占う占いのことも記してあるが、それもシンクロニシティとして解釈している。意味ある偶然として、コインは落ちる。そして、その占いによって、森田氏は株で一億七千五百万稼いだ話など、偶然にしては的中しすぎているのが興味深い。

 占いは、未来の情報を知るためにある。とすれば、未来からの情報が、運命を選択するということになる。未来から逆に流れてきたものが、今の結果を作る。

 普通一般に考えられていることは、過去の自分があったから今の自分があるということだ。過去は変えることはできない。だから、もっとよくなりたかったら、今の自分を変えれば未来は変わると。

この書籍に出会って、私はまた、少し新たな見方で、人間というもの、生きると言うことを捉えることができるようになった。

未来から情報を得る…ことができるとして、大切なことは、あるがままの今の自分を認め、受け入れなければならないということだ。宇宙の摂理の中で、物理的な法則に基づいて存在する、月や星たちと同じように、存在する自分を。

ひとりひとり、この世に生きていることも、宇宙の法則に従って、あるべく姿で存在しているのだということを、私は受け入れようと思う。

森田氏は、「個」への執着を捨てなさいと言っている。

「自由を手放したら、もっと大きな自由が帰ってきました。個を手放したらもっと大きな個が戻ってきました。すでに個は、あなたや私の身体に収まるような小さな存在ではないのです」と書いている。

個への執着を捨てた「全体としての自分」が流れそのものなのだ。

そして、今を肯定する、すべてうまくいっていると思うことは、時空との一体化である。今を肯定できれば、過去が切り離されるとも、森田氏は言っている。

私は、「過去は生ゴミだ」なんて言って、くさいものには蓋をして、今を変えようとしていた。しかし、本当はそういうことを口にするのも、あまり思い出したくない過去の存在を認めた上で、拒否していたのではないだろうか。過去を切り離すということと拒否するということは、全く違う行為だ。過去を拒否し続け、結果、今のあるがままの自分を受け入れることもできなかったのだ。

そして、私はこれまで、自分自身を知りたいが故に、自分はどんな人間なのか? 内面ばかりを見つめてきたような気がする。外の雨の音も、鳥の声も、遮断してきた。だが、それでは何も見えてこないことにも気づいた。

この世の中は、理論理屈で解決できることの方が、少ないのかもしれない。無理に理屈を言い合って争ったりしなくても、時の流れの中で、解決するものの方がたくさんあるのではないだろうか。

自分という存在が、宇宙の摂理の中で、必要であるから物理的に存在しているのだ、時空とつながっているのだと思えたとき、私は、何か心が安らかになった。

 もっと自然に、もっとゆったりとした気持ちで、豊かに、笑いながら生きていけるような気がする。

 この書籍との出会いは、もしかしたら、私が未来からの情報を得ることに目を向け、もっともっと、人生を追求し、それを形にしていくための、その入り口に立つことができたということかもしれない。

 なぜかと言えば、この書籍を買ったきっかけは、いつもなら読まずに削除してしまうパソコンの広告メールを、その日に限って全部目を通し、その中に載っていた書籍案内を見て、何も考えず、衝動的に注文をしていた、必然的な出会いなのだから。

 そして、それを読んで、このエッセイを書いたということも、流れの中で起こった必然なのかもしれない。

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