いのちの風 bU63―その1  
石黒大圓(だいえん)

 
 
【今回のテーマ】 
ビッグイシュー販売員/気合、やる気がすべて/人生をあきらめない
 
 
いつもありがとうございます。 梅雨時で紫陽花があっちこっちで咲いています。 季節によって色々な花が咲く日本は日本人の感性を高めています。 春夏秋冬の大きな季節変化は日本の芸事や芸術、技術でさえ高度なものにしています。 ありがたい日本の自然です。
 
 
先日、私が所属しています寝屋川市倫理法人会でビッグイシューの話をしていただきました。 有限会社・ビッグイシューの販売担当社員で時々大阪駅前炊き出し現場へ来られて「販売員になりませんか」と野宿者たちに声をかけておられる服部広隆さんでした。 
 
テーマは「ホームレスの方々をビジネスパートナーとして」。 彼の話とビッグイシューのホームページから文章を拝借して今回の通信といたします。
 
ビッグイシュー
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC&search.x=1&fr=top_ga1_sa&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&aq=&oq
 
 
 
【すくっと立つ 姿うつくし 野宿の人】
 
 
ビッグイシューとは駅前の路上でホームレスの男性がプラカードを示しながら売っている写真入りの小冊子の雑誌です。 現在で194号まで出版されました。 月に2度発売で定価300円、うち160円が販売者の収入になります。 
 
表紙には話題の人、最近ではサッチャー英首相を演じた女優メリル・ストリープや藤原紀香さんなどの写真を配し、記事も今、話題のもの、震災、原発、貧困、食の安全、映画などが載っています。 
 
最新号には「文月。被災地からの手紙」として多くの被災地の皆さんからの11の手紙(「祈り、思い続けるだけでも ― 被災地の周縁から」など)が掲載されています。
 
ビッグイシューについての詳細は後に述べますが、服部氏の講演の最後のほうで聴衆、皆が驚きの声をあげた場面を先にお伝えします。 
 
 
彼は「ビッグイシューが一番売れている場所はどこですか?」と聞きました。 皆は大阪で一番乗降客が多いJR大阪駅・阪急梅田駅(240万人)だと思っていました。 しかし正解は「川西能勢口駅(大阪郊外の乗降客5万人ほどの小さな駅)」次が「高槻駅」「京阪葛葉駅」。 これらの駅の販売員たちは気合が入っている。
 
能勢口駅の販売員さんは月に1000冊も売り、収入16万円、元職人で地味だけど、猛暑・酷寒のなかでも1日12時間以上も立っている。 そのいつも立っている姿を見る、という「やる気ある」という印象が好評で、得意のお客さんが多いらしいです。 
 
 
全国トップの売上は、これも東京のJR山手線で3番目に乗降客数が少ない「目白駅」の販売員さん。 彼は月に1700冊も売り、収入は27万円。 「10万冊売ったら卒業する」と言っているが、5年間で11万冊も売って数千万円の売上を築いてきた。 彼は家に住み年末には確定申告もしたという「つわもの」です。 
 
1700冊というのは世界的に見ても異常なくらいの高い売上。 彼は言葉を発したりしてアピールするわけでもないが、白い手袋をして雑誌を高々と掲げて片手をまっすぐに伸ばしているだけ。 寡黙だが「立ち姿が芸術だ」「見るだけで勇気がわいてくる」と読者に好評で、それが販売数に跳ね返ってきているのです。
 
 
2番目の売上の販売員さんは同じく山手線「田町駅」の担当。 大変な大阪商人でトーク技術が巧みで客との会話のなかで客の顔を覚えて、名前も聞き出し各人の売上の統計も詳細に記録している。 
 
そして初年度には年末に600人の得意先客に5円玉にリボンをつけた手紙を渡したらしいです。 「人に『ご縁』ということで、これが何倍にも跳ね返ってくんねん」と言う。 名前を覚えていてくれて「来年もよろしく」というメッセージを伝えることで、客との信頼感が高まっている。 
 
昨年には800人に配ったそうで、どんどん顧客数を増やしている。 今は彼が日本一であり世界一です。 
 
 
(その2へつづく)