新聞記事をムービーにする

前号に書いたように新聞記事は静止情報ですからムービーのように動きはありません。だれでも記事を読めば出来事は分かります。

 

例えば、公定歩合が0.5%引き下げられて1.75%になったという記事が出ていたとします。また、昨日は1ドル107円だったが今日は105円になったとします。

 

これらは事実として公定歩合が1.75%に引き下げられたとか、円高になって1ドルが105円になったとかいうことは分かります。

公定歩合にせよ、円高問題にせよ、結果だけが分かってもあまり面白くありません。

 

政治、経済問題など結果が出るまでには必ずそのように動いていく前提条件があります。

 

時代変化の先取りをするためには、情報を分析し、組み合わせ、情報加工をして早め早めに対応できるようにすることが大切です。

 

情報加工して時代変化を読むには、世の中に起こることのすべてを包括して、論理的に結び付け、説明できるようにすることです。

 

なぜ、金丸信さん(当時自民党副総裁)が逮捕されてゼネコン汚職が摘発されたのか、どうして一党支配だった自民党政権が崩壊して、細川内閣が誕生したのか、公定歩合が史上最低の1.75%になっても、どうして企業は設備投資をしないのか、政府が次々と不況対策を講じて手を打ってくれるが、なぜ景気は回復しないのか、ベルリンの壁が取り壊され、東西ドイツが統一され、軍事大国ソ連が崩壊して、東欧諸国の社会主義体制も総崩れになぜなったのか?などなど、世の中で起こるすべてを包括して納得できる説明ができれば世の中が分かります。

 

時代が変わる

世の中は今激変中である。

いま時代が大きく変わろうとしています。世の中が変わるのは当たり前、これまでも変わってきたではないか、とだれでもいいますが、ここ数年でどれだけ劇的に大きく変わるか気付いている人は案外少ないようです。

 

これから数年のうちに起こる時代の大変化は、徳川幕府が倒れて明治維新と呼ばれる革命、または、昭和201945年)8月の敗戦によって軍部と結びついた独占的資本主義が崩壊して自由競争的資本主義となり、近代工業社会として経済大国に発展しましたが、それに勝るとも劣らない革命的大変化が起こりつつあります。その行きつくところが「高度情報社会」(デジタル時代)なのです。

 

いま時代が大きく変わろうとする大きなうねりが起きています。

ベルリンの壁が崩壊ということで、ソ連が崩壊してロシアが生まれ、東ヨーロッパ諸国が次々と民主化し、市場経済を導入し、共産主義社会から自由主義社会へ、共産主義経済から資本主義経済へ、統制経済から市場経済へと移行が進みました。いま世界中で急激な社会変化が起きています。

 

なぜ急激な変化が生じているのか?

なぜこのようなことが起きているかと言いますと、それは「情報」によってなのです。「情報」の伝わるスピードが速くなりました。それも広域になったということです。かってはベルリンの壁をつくることによって情報が流れてきませんでした。

 

徳川時代は鎖国政策によって海外から情報が入りにくかったのと同じです。

時の権力者にとって情報が流れてくることは都合が悪かったのです。

今は情報機器やインターネットの発達によって西側の情報がどんどん東側に流れてしまいます。

 

その結果、ベルリンの壁が崩壊し、ソ連や東ヨーロッパ諸国が崩壊していったという経緯があります。お隣の北朝鮮や中国は、いかに国民に情報を伝えないかという努力をしています。

 

聞いた話ですが、FAXのそばには自由主義国から流れてくる情報を阻止するため、兵士が番をしているらしく西側からの情報の流入には大変気を使っているようです。

 

今は衛星放送によって北朝鮮でも中国でもNHKを通じて世界のさまざまな映像を受信することができます。ただし、国民が自由に見ることは禁止されており、衛星放送の受信アンテナが見つかると多額の罰金を取られるそうです。

自由にはほど遠い国です。

 

これらの国は空港や港において、その国にいろいろ都合が悪い情報をカットするため、懸命に努力していますが、それでも国民に情報は流れて行きます。

 

中国にとっては誠に都合が悪い情報が流れたため、あのような天安門事件が起こってしまったという反省から、それ以後一層厳しい措置を取っているようです。

 

中国にとっては開放経済をやっていくというもう一つの方向があります。

そのため中国は好むと好まざるとにかかわらず、大きく変化せざるを得ないのではないでしょうか。

 

いつまでも自由主義に移行しなくて、これからも共産主義を維持しようとすれば第二の天安門事件、あるいはそれに似たような事件が起こる可能性さえ出てくるのではないかと心配されます。

 

今この地球上で共産主義社会として残っている国の一つにベトナムがあります。そのベトナムもドイモイ(刷新)をスローガンとして発想を転換し、新たな市場経済に移行しようということで大変革を目指し社会建設に取り組んでいます。

 

アメリカのフロリダ海峡を隔ててキューバという国がありますが、このキューバも今変わる前兆が大きく出てきています。カストロ首相が引退するということになれば必ず大きな変化が起きるのではないでしょうか。

 

日本においては38年間も続いた自民党政権が崩壊し、細川政権へと政権が交代しました。そして羽田政権、続いて犬猿の仲だった自民党と社会党が仲良く村山政権をつくるという想像もしなかったことが起こりました。

 

これは日本にとっては画期的なことですが、実はこれも時代変化の大きな流れの一こまなのです。要するに日本の国民が肌で変化を感じ、変化を求めているのでしょう。それが選挙結果となって現れ、政権交代へとつながったのではないでしょうか。(つづく)