縁の花
(魂が成長する正直な心と心のネットワーク誌)
第151号
いつも一緒にしようね
∈∈「ラブ&ファイト」∋∋
平成13年9月から11月末まで、昼の1時から、4チャンネルの花王劇場で、「ラブ&ファイト」という、見る人を元気にするドラマが放送されていました。
本当にすばらしい番組でした。
舞台は鎌倉にある看護婦さんが働く、一色クリニックですが、ここで新幹線(ひかり、のぞみ、こだま)の名前を持っている3人の個性ある看護婦、木村ひかりさん、立川のぞみさん、木村こだまさんや、映画おもちゃで新人賞をとった主演の上原真希さん、一色クリニックの医院長の姪にあたる美人の一色藍さん(川合千春)や恐いけどかわいい面のある美山婦長さん、そんな看護婦さんがそれぞれ個性ある活躍し、笑いとファイトと何よりもたくさんのラブを降り注いでくれていたのです。
また男性人も、穏やかな一色医院長の一色松太郎さんや妻を病気で亡くしたけど、司君と言うかわいい子供を持っている園田和之進先生や、医院長の甥になる高杉健三先生、一色クリニックにいろんな商品を卸している、名前が笑ってしまう西条秀樹さんがいます。
このメンバーに一色医院長の娘の一色菜津子さん(涼風真世)や真希が世界的なイリュージョニスト(奇術)のスターの時からずっと側から離れずに、「お嬢様」と呼んで、亡くなった母親の代わりにお世話をしていた真比留野譲司さん(仲本工事)やお腹に赤ちゃんがおり、父親なしで産もうとしている、さやかさんが脇を固めています。
どの役者さんも好演技をしてくれ、紫陽花ははまっていたのです。
しかし紫陽花が、録画でこのドラマを見る最大の原因は、ラブ&ファイトのドラマを作っているスタッフの人達が、縁の花、第139号「永遠の1/2」で書いた、紫陽花が今世紀で一番のドラマだといっている永遠の1/2を作った人達だからです。
早い話それで見るようになったのです。
と同時にこのラブ&ファイトは、永遠の1/2の形は違っても続編になります。
まず永遠の1/2に出演していた人達が、役柄を変えてたくさん出ています。
一色医院長は、美由紀がお世話になっていた弁護士の所長さんですし、園田先生は、美由紀と結ばれた小山先生で、役柄も同じ医師です。
その上に真希の父親で、イリュージョニストのスターとして活躍した初代シンキロウは、美由紀弁護士と戦った片桐検事がやっています。
他にも真希がいつも行く弁当屋は、美由紀を苦しめた親戚の人が出ているという具合に、永遠の1/2のファンとしたら、いろいろ探す楽しみもあります。
永遠の1/2のファンも特に小山先生(園田先生)の復活に大喜びなのです。
しかも永遠の1/2の亜季と美由紀が帰ってきています。
真希がイリジョニストのスターとしての名声を捨ててまで看護婦のなる夢を持つのは、母親が死んだ時に、親身に自分を励ましてくれた亜季に憧れたのが原因ですし、美由紀も、ドラマの最後の方で、弁護士役として登場します。
そんな見事な演出がされています。
紫陽花はそんな役者さん達の縁を大切にするドラマは、他にない(シリーズものは別)と思うので本当に気に入ったのです。
しかもラブ&ファイトにしろ、永遠の1/2にしろ、心に染みる本当言葉が出てきます。
永遠の1/2なら、「起こる出来事は何かすべて意味がある」とか「まだ、コップには半分残っている」「小さな嘘が、どんどん大きくなって、やがて取り返しのつかない大きな事になる」
ラブ&ファイトなら「言葉には魂がある。だから言葉に出した事は実現する」とか「夢を捨てないと実現しない恋は本当の恋じゃない。恋を捨てないと実現しない夢も、本当の夢じゃない。心はつねに開放してあげないといけない」なんていうのがあります。
その言葉一つで視聴者を本当に感動させてくれるのです。
その上にテーマがしっかりしています。
永遠の1/2なら、「人は美由紀や亜季、小山や田口のように永遠の縁をもてるか」
ラブ&ファイトなら、「元気のない日本人に元気を与える」というものですが、視聴者に深く考えさせてくれるのです。
ですから紫陽花は、ますますこの番組を作っているスタッフ、特にそのリーダーの鈴木 慎太郎プロデューサーの存在が一番、気にいりました。
鈴木プロデューサーのファンになり、鈴木プロデューサーや脚本家の三上幸四郎さん達
が作る番組は、今後、昼ドラマ以外でも見たいと思います。
皆さんにも是非これからも、永遠の1/2のスタッフの作る番組に注目して欲しいので
す。
と同時にここでいつもの紫陽花なら、第139号「永遠の1/2」で粗筋紹介をしたように、ラブ&ファイトの物語の粗筋を皆さんに紹介するのですが、今回はそれはやりません。
ラブ&ファイトのドラマでは、それぞれの役の人がファイトを出して、バージョンアップ、成長していくように、紫陽花もバージョンアップしたいです。
今迄は、映画の「もののけひめ」(96号)や「あした」、(50号)ドラマの永遠の1/2(139号)などの粗筋を詳しく書いていましたが、それをやめて、紫陽花のオリジナルドラマの粗筋を、皆さんに読んで欲しいのです。
さあ、正直言って、紫陽花にどこまで書けるかは分かりませんが、愛のある、元気が出る、しっかりとしたテーマと心の残る言葉を入れたものを書きたいと思います。
是非、皆さんも楽しんで読んで下さい。
(天よ、ものがたりを書きたがっている多くの魂達と、一緒に一緒にすばらしい作品書かせて下さい)
(天よ、永遠の1/2やラブ&ファイトに登場した役者さんや制作した全てのスタッフの人達の魂を救わせて下さい)
∈∈「物語を書くにあたって」∋∋
今、紫陽花はそれがどうしても書きたいです。
しかし戦国時代の武田家や、太平洋戦争のシュミレーション小説なら書きましたが、他のものといったら、紫陽花に何が書けるのかと考えてしまいます。
はたと何も書けない自分を発見したのです。
というのも歌の世界にしろ、演技の世界にしろ、まったく経験のない事は歌ったり、演技したりする事はできないと言いますが、紫陽花は、それは本当だと思います。
なかなか自分で経験していない事は書けないものです
イメージできない、想像できないのです。
だから恥ずかしながら、もうすぐ40歳になろうとしているのに、恋愛の経験も殆どなければ、何かこれといった趣味もない紫陽花に、何が書けるのだろうと考えてしまいました。
だって紫陽花には永遠の1/2やラブ&ファイトのような普通の恋愛ものはとても書けませんし、推理小説なんかも、トリックが何も浮かばないので無理です。
他のハードボイルドものも、人が殺されるのが嫌なので書きたくありません。
何も書けない。
残念ですが、それが現実なのです。
うーーー困ってしまった。誰か紫陽花にすばらしい体験を下さい。
でもそんな紫陽花にも一つだけ書けそうなものがあります。
ゴースト、幽霊を取り扱った作品です。
これなら河内晢先生の元で、済度という霊達を救う活動をしているので、紫陽花にも体験やいろんな情報を頂いているので、何とかなるのではないかと思います。
いえ、それ以外のドラマのシナリオは、書けそうもありませんし、今回は天から書くなと止められているような気がするのです。
ですから何を書くかは決まりました。
一つ映画、「ニューヨークINゴースト」や、大林宣彦監督の「ふたり」のような名作を書いてやろうと少し燃えているのです。
また何を書くか、大まかな事が決まれば、テーマ、皆さんに考えて頂きたい事も決まりました。
済度の事を書くのだったら、河内晢先生がいう、紫陽花や皆さんの背景にいる霊さん達の存在、目には見えないけど確実にいる有縁の死者霊達の事です。
もし有縁の死者霊さん達が本当に存在するのなら、皆さんなら何をしてあげられますか。
その事を一人一人考えて頂く事をテーマにしたいのです。
と同時に、それが決まれば、ドラマのタイトルも簡単に決まりました。
天から少しメッセージが入ったのか、「いつもいっしょにしようね」です。
これは読んだ皆さんが、霊さん達と何事も一緒にしたいと思って頂ける事を願ってつけました。
済度の活動の中で、今、もっとも大事な言葉なので、頂く事にしたのです。
そしてそこまで決まれば、次はどんな人物を登場させるかですが、まず主演は決まっています。
永遠の1/2のドラマで好演技してくれた、笑顔が本当にすてきな芳本美由紀の役をしてくれた戸田麻衣子さんです。
戸田麻衣子さんは、永遠の1/2以後も「明日があるさ」にゲスト出演したり、ラブレボリューションでは政治家の娘役で順レギュラーとして、活躍したりしていますが、まだもう一つ飛躍できていません。
紫陽花が「いつもいっしょにしようね」で、戸田麻衣子さんを飛躍させてあげたいのです。
と同時に、その戸田麻衣子さんを抜擢する以上、お母さん役は、多岐川裕美さんで、父親は春田純一さんで決まりです。
永遠の1/2の理想の家族にしたら、紫陽花はイメージし易いし、皆さんも何となくイメージできると思うのです。
またショムニで、知夏のライバルの秘書役をしている、女優の戸田恵子さんは、戸田麻衣子さんの実際のお姉さんですが、もちろん出て貰います。
「いつもいっしょにしようね」でも戸田麻衣子さんのお姉さん役をして貰おうと思うのです。
これが、紫陽花がイメージする戸田麻衣子さんの家族なのです。
でもこれだけではドラマにならないので、いろんなユニークな人が登場します。
戸田恵子さんの恋人も必要ですし、戸田麻衣子さんの恋人も出したいと思います。
後、亜季、小沢真珠さんを何の役で出演させるかですが、それは楽しみに取っておこうと思うのです。
そしてもう一つの主役、戸田麻衣子さんの相手役の男性ですが、それはもちろん紫陽花ですといいたい所ですが、それはやめておきます。
そうしたらもてない君と美女の物語、美女と野獣になるからです。
ここは演技が上手な小山先生、飯田基祐さんにお願いしたいと思います。
ただし性格や生き方は、紫陽花になると思うので、それはお許し下さい。
さあ、前置きは、このへんにしておきましょう。
さっそく始めたいと思います。
(天よ、戸田麻衣子さんや戸田恵子さん、多岐川裕美さん、小沢真珠さんなどの「いつも一緒にしようね」のドラマに登場するすべての役者さんの魂を救わせて下さい)
∈∈「いつもいっしょにしようね」∋∋
戦国時代、武田信玄のもとで、最強といわれていた武田家も、勝頼が長篠の戦で、織田、徳川連合軍に敗れて、信玄が育てた重臣を失って以来、凋落を続け、ついに天目山で滅んでしまいます。
十歳以上年の離れた嫁の北条家の姫も(名前は分かっていません)、後継ぎの信勝も、追いかけてきた織田軍に捕まり、天目山で首を取られてしまうのです。
「いつもいっしょにしようね」のドラマでは、その勝頼と北条家の姫が、過ごした最後の夜の会話から始まります。
勝頼が、北条の姫に実家に帰るように勧めた時に、北条の姫が、首に縦に振らず、いっしょうに死にたいといった時、死を覚悟した二人が、来世の話をするシーンから始まるのです。
また、その時の会話は、来世生まれ変わるとしたも、二人は、一緒に生まれ変わりたいという事でした。
勝頼は、もう武田家のような大名のような家ではなく、普通の庶民の子として生まれたかったと言い、北条の姫も同調します。
武田信玄や、北条の姫の父親になる北条氏康のような、偉大な父の元で生まれずに、平凡な両親の元で生まれ、二人は再び来世でも結ばれたようと固く誓うのです。
しかしその反面勝頼は、自分が、そのような資格があるかと、弱気な事をいい、北条の姫に優しく励まされます。
勝頼は、武田家の跡を継いだものとして、多くの者を戦で殺してきた事や、何よりも自分自身のいたらなさで、多くの者を殺してしまった事を悔いていたのです。
でもそんな勝頼に、北条の姫は、「きっと許してくれます。私も必死で謝ります」と愛情をもって答えます。
勝頼は、その言葉で長篠の戦に反対しながら、戦場で死んだ重臣の山県昌景や馬場信房などの多くの亡くなった武将に会う勇気が持てました。
父信玄に負けないように実績をあげようとして焦っていた事や、自分のする事に何でも反対する重臣達のいう事を素直に聞こうとしなかった事を深く反省するのです。
と同時に、そんな気持ちになった勝頼は、「だったら、自分を裏切った親族の木曾や穴山、 も恨みなさるな」という北条の姫の言葉に驚きながらも、その言葉に従う気になります。
武田家が、織田・徳川軍によって、抵抗らしき抵抗もできずに滅ぼうとしているのは、武田家の親族になる木曽氏や穴山氏の裏切りの為であり、勝頼自身、さっきまで憎しみに囚われていたのですが、北条の姫のそれを捨てないと、仏様は、二人の願いを聞いてくれませんという言葉に頷くのです。
そしてその後の二人の会話は、来世、何をしたいかという事になります。
勝頼は、「武田家の為に亡くなった者達の為に、何かの罪滅ぼしがしたい」
「もう二度と戦の起こらない世の中にしたい」というのですが、具体的に何かをしたいというものは、二人の間では決める事はできなかったのです。
ただ、その会話の中で、勝頼は、信玄の一番の側近、高坂弾正が、書いているという甲陽軍鑑の話をします。
というのも勝頼は、自分に諌言する事が多かった弾正が、長篠の敗戦の後、武田家の滅亡を悟ったのか、書き始めたという甲陽軍鑑の存在を知っていました。
弾正は、甲陽軍鑑の中で、信玄を軍神と扱い、その後の勝頼の事を厳しく非難していたので、甲陽軍鑑の存在の事を武田家の誰にも言わずに隠していましたが、勝頼は誰に聞いたのか、高坂弾正が、信玄やその元で結束していた武田家の事を後の世の中に残す為に、軍学の書を書いている事を知っていたのです。
だから勝頼は、その甲陽軍鑑が、後の世の中にどう評価されるのだろうという興味を持っていました。
それが、武田家が滅んだ後も、多くの人の心の中に、信玄や武田家や残る事になるのだったら、自分もそういったものを書いてみたい。
今の自分の心境や、多くの家臣に詫びを書いてみたい、勝頼はそんな事を、北条の姫にいうと、その会話を終えます。
一つの黄色い花が、そんな二人の会話をじっと聞いていて、この場面が終わるのです。
(天よ、戦国時代に亡くなった武田家の人達の魂を救わせて下さい)
∈∈「アメリカ同時テロ事件」∋∋
「いつもいっしょにしようね」の物語は、羽田の空港から始まります。
北山家では、姉の雅子(戸田恵子)が米国に行くという事で、母の美智子(多岐川裕美)、父の明雄(春田純一)や恋人の高坂久文やその妹の高坂加奈代(小沢真珠)が空港に見送りに来ていたのです。
またその中には、雅子の妹で女優、北山結花(戸田麻衣子)の存在もありました。
結花は現在30歳ですが、名前はある程度知られている女優で、本名は啓子ですが、結花と名乗るとドラマや芝居でも活躍しています。
姉の雅子とは全然生き方は違っていますが、姉妹の仲は結構よく、少し変装した姿で、見送りに行っていたのです。
でも結花は、これが姉との最後のお別れになるとは夢にも思いませんでした。
雅子は明るく、元気で、笑顔がすてきな女性でした。
災いも、雅子からは避けて通るのか、幸せそのものだったのです。
というのも姉には恋人の高坂久文ともうすぐ結婚も決まっていました。
雅子はそれをきっかけに銀行のキャリアウーマンの仕事を辞め、日本に帰る決心をしていました。
米国にあるニューヨーク営業所が、米国のバブル崩壊の為に廃止する事が決まり、その後始末の為にいった雅子は、その仕事が終わるとA銀行を辞めるつもりだったのです。
ですから雅子は幸せで一杯でした。
仕事的には、金融関係で働くと言う事はハードで、疲れている面もあったのですが、希望に燃えていたのです。
そしてその事は、結花にも分かっていました。
姉の雅子は結花には何でも話してくれており、銀行を辞めた後、少し心を休めたら、金融関係とは違った仕事をしたいといっていたからです。
それを雅子は「いろんな心の花を咲かせる仕事」としか言いませんでしたが、何かを考えているようでした。
恋人の高坂久文も、それを理解し、一緒にやれる事を夢みている感じで、飛行機で飛びたったのです。
しかし結局、この雅子の夢は実現しませんでした。
米国に行った1ヵ月後、予想もしなかったアメリカ同時中央多発テロ事件が起きたからです。
雅子は、その日、アメリカ世界貿易センタービルで仕事をしており、飛行機がぶつかった直撃を受けてしまいます。
上の階にいており、何人かの同僚とビルが崩壊する現場ちかくにいたのです。
しかも運悪く逃げるのが遅くなった雅子が、ちょうどビルから逃げようとした時に、ビルが崩壊してしまって、雅子は生き埋めになってしまうのです。
またその事件は、北山家にとっては大きな衝撃でした。
ビルに飛行機が突っ込んだ映像はテレビで、リアルタイムで見る事ができ、すぐに知って心配しましたが、娘、雅子からの連絡はなく、美智子、明雄は深い悲しみに捕らわれました。
無事を祈るしかなかったのです。
だけど雅子からの連絡はありませんでした。
雅子は、崩壊したビルの中で、ずっと救援を待っていましたが、けがをして動けなかったのです。
そしてその事は、不思議と結花だけには分かっていました。
結花は霊感が強く、小さい頃は幽霊をみた事や金縛りにあった事が何回もあったのですが、今回の事件のショックで、隠れていた能力が少し目覚めたのか、雅子の苦しみを感じる事ができたのです。
だから結花は、ビルの中で、姉がまだ生きていると必死に訴えたのですが、どうする事もできませんでした。
飛行機はテロを警戒して、飛ぶ事はなく、結花は仕事を休んで、北山家で、両親や恵子の恋人、高坂久文や妹の高坂加奈代、親戚の人達と、無事の知らせが来る事をじっと待っていたのです。
でもその連絡はありませんでした。
そんな中で結花は、姉、雅子の苦しみや痛みを感じる事ができ、必死で2日間、姉を励ましていたのですが、やがて、姉からの思いを感じる事ができなくなって、姉の死を悟りました。
「まだ死にたくない。やりたい事がある」という思いが一杯の中で、姉が死んだ事を感じ、深い悲しみに包まれていたのです
雅子は死にました。
結花に励まされながらも、周りに誰も居ない中で、少し痛みに苦しんで死んだのです。
だけどそれは雅子にとってはとてもよかったです。
自分がもうすぐ死ぬと言う事を自覚できたからです。
雅子がその事に感謝したのは、死んだ後でした。
肉体から離れて霊になった時に、雅子は自分と同じように、多くの人が死んで霊になった姿を見る事ができましたが、その中の多くがまだ自分が死んだ事を自覚できていない事に気がついたからです。
ある霊は、死んだことが自覚できないまま、まだ助けを求めていますし、ある消防士の霊は、自分が死んだ事に気がつかないまま、多くの人を助けようとしています。
アメリカテロ事件の現場は、そんな霊達で一杯だったのです。
しかも一部の霊達は、自分がテロ事件で死んだ事は理解できていましたが、その怒りで一杯でした。
テレビの映像で知り、犯人に対する怒りを押えられませんでした。
金融関係のエリートだけに、どうして自分が死なないといけないのだという怒りで一杯なのか、復讐の思いにかられていたのです。
だから雅子は、そんなアメリカのテロ事件で亡くなった3千人以上の霊達に落ち着くように、訴えようとします。
雅子は、そんな霊達と話をする事ができ、死んだ事が自覚できていない霊には、死んだ事を知らせようとしたり、怒り狂っている霊達には、冷静になるように説得したりするのですが、殆どの霊達もそんな考えを受け付けません。
死んだ事が自覚できない霊は、雅子の事を拒否しますし、怒り狂っている霊は、雅子に、自分達の仲間になるように誘います。
不思議と怒り狂っている霊達が、生きている人間の背景に立つと、テレビをみている人も、テロ事件の復讐を叫ぶようになり、雅子はただならないものを感じます。
多くの怒りを持った霊達が、ブッシュ大統領や米国の指導者の背景に向かうのを止められなかったのです。
だから雅子は10日後、諦めて、日本に帰りました。
自分の事で泣いている両親や、恋人の高坂久文、妹の結花の思いを感じて、一瞬で、北山家に帰る事ができたのです。
しかし雅子は、そこで自分の思いを家族や恋人に伝える事はできませんでした。
雅子がいくら話し掛けても、両親や恋人には聞こえなかったのです。
ただ妹の結花だけには、何となく伝える事はできました。
霊感が強い結花は、姉の雅子が北山家に帰って来たこと。
自分や両親のちかくで、見ている事だけは、何となく感じる事ができるのです。
ですから雅子は、姉が深い悲しみ、無念の思いで死んだと思って、女優の仕事もできなくなりそうな結花に、「もう心配しないで。いつも結花の背景から見守っているから」とメッセージで伝えて、結花を立ち直らせる事に成功します。
結花の背景で、しばらく見守る事にしたのです。
(天よ、アメリカ中枢同時多発事件で亡くなった多くの魂を救わせて下さい)
∈∈「天使雅子の誕生」∋∋
アメリカ中枢同時多発テロ事件から20日後、雅子は、霊界に帰る決心をします。
妹の結花や両親、恋人の高坂久文も、雅子が背景から必死で、「もう私の事は忘れて、早く立ち直って」と囁いており、その雅子の願いを受け止めて、立ち直り始めました。
もう大丈夫と判断したのです。
しかもA銀行からは、自分以外にも3人なくなっており、それぞれの家で葬式が行われました。
雅子はそれを見届けた後、合流した後二人の霊と一緒に霊界に帰りたいと思うようになりました。
他の二人の霊は、雅子と同僚、篠山健史と上司の二岡悟の霊ですが、雅子が二人を説得して、霊界に帰る事を提案し、二人も同意しました。
霊になった3人は、自分には帰るべき故郷、霊界がある事を思い出したのです。
しかし3人はすぐに帰る事はできませんでした。
3人の霊がそう思った瞬間、天国からマスターと呼ばれる霊が何体も降りて来ましたが、帰りたいという3人の霊に、他のアメリカ同時テロ事件で亡くなっている多くの霊達が、米国を操って報復しようとしているので、それを説得するように頼まれたからです。
だから3人は、他にもいる報復反対の一部の霊達と、説得する為に、米国のニューヨークやワシントンに向かったのです。
だけどそんな報復反対の人達の意見は、まったく受け入れられませんでした。
ブッシュ大統領やそのスタッフの背景の外側には、アメリカテロ事件で死んだ霊達が、報復を叫んでがっちり固めており、雅子達反対派は、全然近づけませんでした。
近づこうとしたら邪魔をして、全然話しさえ聞こうとしてくれないのです。
しかもブッシュ大統領やそのスタッフの背景の中心には、アメリカテロ事件以外とは別の霊達、戦争をさせたがっている霊達も多数いました。
第2次世界大戦で死んだのかその頃の軍服を着ていた霊達や、何千年も前の鎧をかぶった霊達で、雅子達がやっとの思いでちかづいて、話をしても雅子達の意見は無視されてしまいました。
雅子はそんな霊達の姿を見て、戦争をやりたがっている霊達が多くおり、そんな霊達が政治家などの背景にいて、戦争をするように操っている事を理解しました。
それが人類の隠された歴史の裏側だったのです。
だから結局、雅子達は何もできないまま、アメリカのブッシュ大統領は、アフガニスタに軍事攻撃を仕掛けてしまいます。
そこで雅子達、戦争反対派の霊達は、お役ごめんになりました。
霊界に帰る事になったのです。
しかし雅子だけは、霊界に帰る事ができませんでした。
マスターの指導霊は、雅子にまだこの世の中で果さないといけない大きな使命があると教えてくれたのです。
ですから雅子だけは残る事になりました。
自分が何をしないといけないのか、それをマスターの霊達は教えてくれませんでしたが、
雅子は一人で、その何かを探す決心をしたのです。
こうして雅子は、しばらく一人でいましたが、孤独ではありませんでした。
生きている人間で雅子の存在を感じる人は、雅子のヨガの先生である、森山清子先生以外はいませんでしたが、同じ霊達は、雅子の存在が見えます。
雅子は、霊達となら話をする事はできるので、寂しくはなかったのです。
またそんな雅子に、北山家の守護霊や高坂家の守護霊達だけでなく、アメリカテロ事件で亡くなった被害者の守護霊達も話し掛けてくれました。
雅子のとった行動に感謝してくれたのです。
だけどその霊達の世界は、雅子には驚きでした。
霊達の存在は、生きている人間の何千倍とおり、雅子はびっくりしました。
霊界に帰れない霊達が、こんなに多い事に驚きと共に、生きていた頃、自分がその事に気がついてあげられなかった事を深く反省します。
霊達と話をしてみて、気が付いて欲しかったと言う霊が多かったのです。
しかも霊の中には、人間以外の動物、植物の霊もたくさん存在しており、人間に恨みを持っている事も知りました。
生きている頃の雅子の背景にいて、平気でパクパク雅子に食べられた事で、敵意を感じている魚や牛の霊達もたくさんいたのです。
だから雅子は、そんな霊達と話をして、人間に食べられる魚や牛の気持ちを理解しました。
普段、何気なく魚や肉を食べていた事が、どれだけいけない事だったのか。
魚や牛も、人間になりたいという思いがあり、次に生まれる時は、魂で今より成長できる生物に生まれたかったと言う願いをかけて欲しかったといわれた時に、雅子は何もいえなかったからです。
でもなかなか許そうとしなかった雅子の背景にいた霊達も、今から私にできる事をしたいという雅子の言葉で何とか許してくれました。
背景にいる霊達は、日頃の雅子の生活をじっとみており、これからの雅子を信じる、応援すると約束してくれたのです。
こうして雅子の霊は、天使の霊へと急速に成長して行きました。
と同時に、そんな雅子に、今までに縁を持っていたいろんな人の守護霊達が、お世話になった事へのお礼を述べてくれました。
雅子は自分への期待をひしひしと感じたのです。
ですが、その中で一番ユニークだったのは、黄色い花のお礼でした。
黄色い花は、雅子が自分の事を綺麗だと誉めてくれた事や、愛情を注いでくれた事に深く感謝し、最初、黄色い花が何なのか分からなかった雅子も、黄色い花が「縁の花」と名乗った事で気がつきます。
インターネットで知り合ったメール仲間の、竹田勝正が書いているホームページの名前が、「縁の花」で黄色い花の正体だったのです。
そして天使の霊になった雅子の最初にやる仕事は決まりました。
黄色い「縁の花」に頼まれて、縁の花を育てるお手伝いをする事になったのです。
(天よ、いつもいっしょにしようネのドラマのモデルになっている、皇室の美智子様や雅子様、川北雅子さんや西岡美智子さん、辻久文さんや山崎加奈代さん、北条啓子さんなどの紫陽花と縁ある人達の背景に居る魂を救わせて下さい)
∈∈「縁の花」∋∋
縁の花、黄色い花が生まれたのは、平成4年の11月でした。
竹田勝正が、いろんな本当情報を、縁ある人に伝えたいという事で、縁の花という名前の情報誌を書いた時に生まれたのです。
「言葉には魂がある」というように、縁の花は、勝正の思いによって、種ができたのです。
またその種は、1年、2年と言う継続していく事で、芽が出て、少しずつ育っていきました。
というのも竹田勝正は、書き始めた時から、縁の花にいろいろ話し掛けていました。
「大きく花になれとか、綺麗な花になれ、多くの人に読んで貰う花になれ」といったものです。
勝正はそんな事を話し掛けていたのです。
しかも勝正は、いつの間にか、縁の花を守り神、縁結びの神様と思ったのか、自分と一緒に縁の花を育ててくれる優しい女性との縁を創って欲しいと頼みだしていました。
縁の花を、無意識に意思を持った生命体として扱っていたのです。
だから縁の花は、そんな竹田勝正の願いで、5年ぐらい経過した頃には、肉体はないけど、意識を持った心の中で咲く一つの黄色い花になっていたのです。
また、雅子がそんな縁の花のホームページを知ったのは、縁の花が咲いてすぐでした。
実は、その事も縁の花や、雅子の守護霊が仕組んだ事だったので、偶然ではなく、ある大きな意味を持っていたのですが、それを雅子は縁の花から「私はあなたの事ずっと前から知っていました。私が雅子さんと勝正の縁を作ったのですから」と聞かされびっくりしてしまうのです。
しかしそんな縁の花は、今、元気がありませんでした。
縁の花の作者竹田勝正は、出版会社のB社で、本を作成して、本屋に流す仕事をしていたのですが、今、出版業界は、ものすごく不景気で本が売れずに困っており、竹田勝正も、その仕事で精一杯なのか縁の花を書く時間がなかなか持てませんでした。
縁の花を全然書けなかったのです。
だから縁の花は、そんな勝正の為に、側で囁いたり、応援したりしているのですが、勝正にはその言葉は通じませんでした。
どんどん書く意欲を無くそうとしていたのです。
そしてそんな勝正の為に、雅子も何とかしようと思います。
雅子も勝正の背景からがんばってねという願いをかけると、不思議と一瞬はやる気になるのですが、長くは続かないのです。
ですから縁の花と雅子は、相談して、雅子の妹、結花に頼む事にしました。
雅子は、結花の夢の中であらわれると「結花、心配してくれてありがとう。私はもう大丈夫。でも一つだけお願いがあるの。私の心の中で咲いている花を育ててあげて欲しいの」という謎のメッセージを残して消えてしまうのです。
結花は、そのメッセージを、自分のマンションのベッドで聞き悩んでしまいます。
自分を見守ってくれている雅子の存在は、何とか感じていましたし、声をこんなにはっきり聞いたのは二度目なので、別段驚きませんでしたが、それよりも内容の意味が分からず、夢なのか、どうか半信半疑だったのです。
だから結花は、雅子と自分のヨガの先生でもある、森山清美先生に相談しました。
森山清美先生は、ヨガ暦20年のベテランで、霊を見る事もできます。
それで森山清美先生は、結花の背景に天使になった雅子の存在だけでなく、縁の花や三毛猫(竹田勝正の家で飼っていた猫)や、いろんな花がついているのにびっくりしましたが、結花にその雅子の思いを実現させてあげるようにアドバイスします。
雅子や縁の花が拝む姿にただならぬ感じた森山清美先生は、結花に対して、雅子の思いを実現してあげないと、未練が残って雅子が霊界に帰れないといったのです。
それで結花は姉の為に、『姉の心に中で咲く花』を探そうとするのです。
しかし結花には、雅子がいった「心の中で咲く花」という意味が、全然分かりませんでした。
雅子の部屋には、いろんな観葉植物がありましたが、母親の美智子に電話で聞いたら、美智子が水をあげており、大丈夫だったのです。
だから結花は、雅子のいっている事の意味が分からずに困ってしまいます。
姉の雅子に呼びかけても、雅子は教えてくれようとせず、声は聞こえなかったのです。
それで結花は、休日に北山家に戻ると雅子の部屋で、もう一度観葉植物に水をあげたりしましたが、他に何か心当たりを探そうとします。
雅子は違うと言っている気がしたのです。
でも心の中に咲く花は、見つかりませんでした。
高坂久文や久文の妹の加奈代に電話で聞いてみても、心当たりはないというのです。
それで結花は困っていましたが、ふっと雅子の部屋にあるパソコンに目を向けるとスイッチを押し、メールを覗く事で、やっと雅子のいっている心の中に咲く花が何なのか分かって気がしました。
1ヶ月以上の長い間に、雅子宛てのメールはたくさん届いていましたが、結花は、その中に紫陽花と名乗っている竹田勝正のメールを発見します。
これがそうではないかと思ったのです。
というのも紫陽花さんは、「縁の花」というホームページを持っており、雅子はそんな紫陽花さんにメールを何通か送る事で励ましていました。
その雅子の文面や紫陽花さんのメールの内容を読んで、これだと結花は直感で分かりました。
姉の雅子が、この紫陽花さんのホームページにメールを送る事で、「縁の花というホームページ」を育てていたそんな気がしたのです。
だけど結花は、そんな紫陽花さんに、雅子の変わりに自分が何をしてあげたらいいのか分からなくなって考えてしまいます。
メールの相手、紫陽花は、もちろん雅子が亡くなった事を知りません。
雅子は、向日葵と名乗っており、あまり自分の事は詳しく話していないみたいです。
メールには米国にしばらく行くけど、1ヵ月後には帰国するとだけ書いており、竹田勝正は、まさかアメリカテロ事件で雅子が死んだとは思わずに、2ヶ月以上過ぎているのに、メールが来ないことを心配しており、そんな紫陽花さんに、結花は何て返事をしたらいいのか分からなかったのです。
だから結花は、結局、その日は何もできませんでした。
縁の花のホームページを見ても、姉が何を望んでいるのか、この縁の花というホームページを自分に育ててほしいと言う、姉が夢の中でいったメッセージの意味が分からなかったのです。
でもそれでも結花の気持ちの中には、この事がずっと残っていました。
仕事をしていても、縁の花の事が気になっていたのです。
ですから結花は1週間考えて、返事を出す事にしました。
姉が死んだ事を知らせたら、紫陽花さんはがっかりするとは思いながらも、知らせない訳にはいかないと思ったのです。
それが、姉が望んでいることであり、そうしないと森山清美先生のいうように姉は、天国に帰ろうとしない気がしたのです。
だから結花は、1週間後、簡単なメールを出しました。
自分の名前も、姉の名前も伏せて、ただ姉が亡くなった事を簡単に、「紫陽花さん、向日葵の妹です。悲しいお知らせをしないといけません。姉は死んでしまいました。だからもうメールは送れないと思います」と紫陽花に知らせたのです。
(天よ、夢に出てくる意思を持っている縁の花やいろんな花、子猫や木などの多くの魂を救わせて下さい)
(天よ、紫陽花の職場の二人の竹田さんの魂を救わせて下さい)
∈∈「縁の花との縁」∋∋
結花は、それで縁の花との関係は、終わったと思っていましたが、そうではありませんでした。
メールを送った日、縁の花は、結花の夢の中に出てきて、「ありがとう」とお礼をいったからです。
それで結花は、縁の花に意志がある事を知りました。
姉がいった、「心の中に咲いている花」という意味が分かった気がしたのです。
しかし結花自身は、縁の花に興味は殆どありませんでした。
女優との仕事が忙しく、その事で頭が一杯で、他の事を考える余裕はなかったからです。
姉が好きだった精神世界の事は理解できますが、本能的にはまりそうで、縁の花のホームページは見る気になれなかったのです。
だけどそれでも「縁の花」からの夢の通信は、結花にたまに来るようになりました。
「今度、新しい号ができた」とか「今度のものはいい」といった内容のものです。
縁の花は、そんな通信で結花に訴え、結花は最初困っていましたが、やがてそんな縁の花と夢の中で会話するようにさえなりました。
いつの間にか、結花と縁の花は、夢の中で何でも話せる関係になり、縁の花は、結花の仕事や恋愛の相談にさえのるようになります。
結花の次の新しい仕事に対しても、このドラマはいいから、この役をしたら成功するとか、恋愛に対しても、今、付き合っている男性は、よくないというアドバイスをくれます。
それが結構当って結花は助けられました。
縁の花の助言で選んだドラマの役は大成功しましたし、結花が付き合っていた俳優の織田信郎が、結花を裏切って、他の女優と付き合っていた時には、ずっと慰めてくれたのです。
だから結花にとっては、縁の花はなくてはならない存在に自然になりました。
結花は、縁の花が夢の中で出てくるのを楽しみにしていたのです。
でもそんな関係が半年ちかく続いた頃、縁の花の元気がどんどんなくなっていった事に気が付きました。
縁の花が枯れようとしているのか、葉っぱが腐り始めていたのです。
ですから結花は、縁の花を何とかしないといけなくなりました。
縁の花が枯れようとしている原因は、雅子によれば、縁の花を書いている竹田勝正が縁の花を書くのを止めようとしているからであり、結花はいてもたってもいられなくなったのです。
それで結花は、姉の代わりに、メールを送る決心をします。
縁の花に、竹田に縁の花を励ますメールを送ってあげて欲しいと頼まれて、それが断れなかったのです。
でもそのメールでは、結花は自分が女優の北山結花だという事は隠す事にしました。
縁の花もそうして欲しいというので結花は、姉の向日葵ではなく、薔薇と名乗ると、「これからは姉の代わりに私も楽しみに見ています」という簡単なメールを送ったのです。
だけどそれだけでは竹田勝正のやる気は完全に復活しませんでした。
竹田勝正は、薔薇と名乗る結花のメールに喜びましたが、それで縁の花が完全に快復する事はなかったのです。
それで結花は、何回もメールを書いたり、縁の花を真剣に読むようになったりしていきました。
夢の中で縁の花が喜ぶので、止める訳がいかなかったのです。
そして二人の関係は、自然と親しくなっていきました。
竹田勝正は、結花からの何回かの励ましのメールで、少しずつ縁の花に対する情熱を取り戻しました。
姉の雅子のこともいろいろ尋ね、結花が答える姉の事や縁の花に対する感想のメールを楽しむようになったのです。
∈∈「勝正と加奈代の出会い」∋∋
何回か交換している間に、結花は勝正に対する興味も持つようになりました。
縁の花は勝正のことを「不器用で全然駄目だけど、心のあたたかい人??」といっており、縁の花を育てている勝正が、どんな人物なのか知りたくなったのです。
また勝正自体も、結花に会いたいという気持ちが、どんどん強くなる自分を押えられなくなってきました。
自分とは生き方が違う、結花に何か大きな魅力を感じたのです。
だからメール交換が始まった3ヵ月後、勝正は、結花に一度会えませんかというメールを出します。
姉の雅子のお墓にも参りたいというのです。
でも二人が会う事は大変でした。
結花自身は会いたい気持ちはありましたが、その反面結花が女優の北山結花だと知ったら、どんな反応を勝正が見せるか、それが結花は何となく心配でした。
女優と一ファンの関係になってしまうのではないか。
今までの関係が壊れると思ったのです。
ですから結花はしばらく考えた上で、雅子の恋人だった高坂久文の妹、加奈代に代役をお願いする事にしました。
加奈代は、姉の雅子と気が合い、精神世界や本当の世界も詳しいので、勝正に対してもうまく縁が持てるのではないかそう思ったのです。
それで結花は、親友でもある加奈代に事情を話して、「自分はある事情があって直接会えない」と説明して欲しいと頼み、渋々加奈代は納得しました。
「縁の花」が夢に出てくる事はいいませんでしたが、姉の雅子が夢の中で頼んだと言う一言で、加奈代は雅子の為に承知してくれたのです。
こうして勝正は、結花の代役とは知らずに加奈代と会う事になりました。
新宿の喫茶店で、2時間会ったのです。
でもその出会いは、意外な方向に進んでしまいます。
というのも加奈代は、勝正に、結花は、どうしても会えない理由があって、自分が代役で来た事を正直に話すと、その後はさっさと帰るつもりでした。
加奈代自身にはすてきな恋人がいるし、勝正が、どんな男性なのか、結花に報告するのが目的だったのです。
しかし以外にも、最初、ごく平凡な竹田勝正に失望していた加奈代も、雅子とのメール交換の話や、勝正が書いているという「縁の花」のホームページの話で行き意気投合してしまいます。
しまいには代役と言う事を忘れて加奈代が、やろうとしているアクリルたわしを普及させる話や炭を使って洗濯機で洗濯する話になりました。
アクリルたわしや炭を使えば、食器を洗う洗剤や、衣服を洗う洗剤を必要としません。
加奈代は、その話を、今、話題になっている、洗剤が必要ない洗濯機の話から始めて、「いつもいっしょにしようね」というドラマでは、本当に視聴者にもよく分かるように話をしたのです。
だから武山勝正も、その話に興味を持つと、加奈代の活動に協力したいといいました。
姉の雅子が米国から帰国したら、アクリルたわしや炭を使って洗う本を出したがっていたという一言で、勝正の気持ちも動いたのです。
それで勝正は加奈代から詳しい話を聞き、加奈代から資料を貰うと、縁の花、第〇〇〇号「アクリルたわしと炭の活用」を書く約束をしました。
しかも出版関係の仕事をしている勝正は、縁の花だけでなく、加奈代に協力して、姉、雅子の意思である本も作成する協力もしたいと申し出てくれたのです。
ですから加奈代は、そんないい人の勝正を騙している自分が嫌になって、自分が「ばら」さんの代役だという事を話し、その上で協力を求めてしまいます。
慕っていた姉になるはずだった雅子の思いを実現したいと言い、その加奈代の言葉に、きっと薔薇さんは外見に自信がないか、病気なのだと誤解した勝正も、驚きながらも喜んで承知したのです。
こうして加奈代は、結花の代役から、友人の一人として縁を持ってしまう事になったのです。
ですから加奈代からの報告で、そのことを知った結花は、そこまで縁が進んだ二人の関係に戸惑いながらも、自分の事はいわない約束で了解しました。
「外見はたいした事がないけど、中身は、やはりお姉さんの雅子が評価する人だね」という加奈代の言葉が嬉しかったのです。
しかし結花が、この出会いに大きな意味があった事が分かったのは、2週間後でした。
勝正が、第〇〇〇号「アクリルたわしと炭の活用」というタイトルの号を書き上げた時に、「縁の花」だけでなく、「アクリルたわし」の顔をした花と「炭」の顔をした花が、夢の中で出てきて結花にお礼をいったからです。
その時に結花は、勝正は気が付いていないのかもしれないけど、勝正が縁の花で書く事で、意識を持ったいろんな心に咲く花が誕生している事を知ったのです。
∈∈「結花と勝正の縁」∋∋
勝正と加奈代の縁は、その後も少しずつ進展していきました。
加奈代自身も、縁の花、第〇〇〇号「アクリルたわしと炭の活用」ができた事を非常に喜び、お礼のメールを出し、メール交換が始まったのです。
また本を出す話も、勝正の協力を得て、加奈代は準備を始めました。
加奈代は、勝正とたまに会う事になったのです。
でもそんな二人の関係は、恋人の関係には進展しませんでした。
加奈代には、浅井徹という恋人がいたのです。
だから二人の関係は、いつまでも友人でした。
そんな中で、雅子の願いだったと言う「アクリルたわしと炭の活用」の本が作成させるという共通の目的の為にがんばっていたのです。
と同時に、勝正と結花とのメール交換も続いていました。
結花が何をしているのか分からないまま、勝正はたまにメールを送り、結花も身分を隠して、返事を送っていたのです。
しかしそんな関係は、半年が過ぎた頃から波風が吹いてきました。
待望の本ができた時には、加奈代も、結花も喜びましたが、加奈代の恋人、浅井徹は、加奈代と勝正の関係に嫉妬して、二人が会うことを嫌がるようになります。
加奈代も、勝正が好きになりそうな自分を恐れて、何故か勝正を避けるようになりました。
勝正が偶然女優北山結花のファンだという事を知った事や、自分と会おうともしない結花に、何か悲しい理由があると思って、こまめにメールを送り、やりとりを大切にしている勝正に、目にみえない大きな絆がある気がしたのです。
だから加奈代は、勝正と会わなくなりました。
勝正に「結花は、あなたの思っている人じゃないから、結花と絶対に会いなさい」と最後にアドバイスをすると、勝正と加奈代の縁は終わってしまったのです。
でもそれは、結花には大きなショックでした。
というのも加奈代の励ましで何とかやる気になっていた勝正は、〇〇〇号「アクリルたわしと炭の活用」以外の号でも、次々と新しい号を書いていました。
〇〇〇号「河内正臣の最後の一厘」第〇〇〇号「田中真紀子」〇〇〇号「池田小学校」という具合です。
その度に、いろんな花や人物が、結花の夢の中に出てきてお礼をいいます。
昭和天皇やいろんな天皇、田中真紀子さんの顔をつけた花や、池田小学校でなくなった子供達が出てきて、「勝正さんにお礼をいって欲しい」「力になって欲しい」と結花に頼むのです。
それぐらい縁の花は、作者の勝正が思っているより重要なものだったのです。
だけどそれが加奈子との縁がなくなった事で、勝正の気持ちが再び、元に戻ろうとしていました。
「縁の花」も元気がなくなりつつあったのです。
ですから慌てた結花は、勝正を励まそうとしますが、勝正の気持ちは動きませんでした。
今迄黙っていた「縁の花に意思がある。夢の中で私にメッセージをいう」というメールを送っても、信用しようとしなかったのです。
こうして結花と勝正のメール交換も、スムーズに流れなくなりました。
実は、勝正には、会社の上司の木曽隆や同僚の小山田哲郎などが邪魔されていることもあって、縁の花をかける時間を取るか、会社出リストラされたくないのだったら、仕事にもっと時間を費やすかという、どちらかの選択を取るように求められており、結花がいくらいっても、聞けない事情もあったのです。
それで結花は、「縁の花」の為に、勝正に会う決心をします。
「縁の花」からその勝正の事情も聞いており、自分で直接、勝正に、今迄自分が体験してきた不思議な話をする決心をすると新宿で会ったのです。
でも結花と勝正の話は、結局失敗してしまいます。
勝正の背景にいたいろんな兜をかぶった戦国時代の武士の霊や、縁の花を書かせたくないと言う霊がいて、邪魔をするのか勝正の耳元で囁く為に、結花の話は通じなかったのです。
というのも勝正は、薔薇さんが、偶然ファンであった女優の北山結花だと知って、驚きながらも、ものすごく喜びましたが、いろんな悪意を持った霊達は、そんな勝正に、結花は、勝正の事をファンとしか考えていない。
だから今迄会おうとしなかったし、これからも会う気はないと囁きます。
勝正はそんな霊達の囁きもあって、自分と女優の北山結花とでは、もう会う事はないと思ってしまいます。
どんどん目にみえない壁を作ってしまい、北山結花に対して、一人の熱烈なフアンであっても、友人にはなれないと思い込んでしまったのです。
ですから勝正は、わざわざ自分に会って縁の花を続けて欲しいという女優の結花に感謝をしても、「縁の花」を止めないで欲しいと言う願いを聞こうとはしませんでした。
結花に対する見栄から、他のものを書きたいからという嘘の理由もいって、やはり縁の花は書けないと、霊達に答えさせられてしまいます。
勝正はいろんな霊達によって、潰されてしまったのです。
しかしこの結果は、結花には意外な結果でした。
熱烈な自分のフアンである勝正は、自分が言えば、縁の花を続けてくれると結花は簡単に考えていました。
霊感の強い結花には、勝正に武将達やいろんな霊達が何を囁いているのか、声は聞こえなくてもその存在は見え、それと戦う縁の花や、いろんな花の霊も見えたのですが、結花自身に、女優という立場上一人の男性に会うのは大変な事もあって、勝正の友人として支えるという気持ちがなく、悪意を持っている霊達に負けてしまったのです。
だから二人の最初の縁は、女優と一人のファンとしての出会いから進展する事はなく、勝正は自分に熱心にいう結花に対して、友達になって欲しい、一緒に縁の花を育てて欲しいと言いたかった事もいえず、二人は、次に会う約束もせずに、別れてしまいました。
勝正は、結花にサインを貰うと、「縁の花」は続けるか、どうか、考えてみるといったものの、結花の励ましでも気持ちは動かなかったのです。
(天よ、武田家以外の多くの大名、織田家や北条家、浅井家、朝倉家、本願寺などと縁を持つ人を救わせて下さい)
(天よ、縁の花が、夢の中で出てきた、紫陽花の職場の浅井さんの魂を救わせて下さい)
∈∈「本当の花」∋∋
勝正の気持ちはその後も変わりませんでした。
結花は、そんな勝正に何回かメールを送る事でやる気を起そうとしましたが、あまり効果はありませんでした。
縁の花は、だんだん元気がなくなり、今にも枯れそうになっていったのです。
だから結花は、そんな縁の花の姿を見ていられなくなると、ある決心をします。
勝正にいろんな悪意を持っている霊達がついている以上、そんな勝正を正常に戻す方法はたった一つです。
真剣な愛しかありません。
「縁の花」はそういいますし、姉の雅子もそういいます。
雅子は、結花が今だけでも、勝正の恋人になって支えてあげたらいいとさえいうのです。
結花はそんな雅子の言葉にはさすがに「私のタイプではない」と反発していましたが、いつの間にか結花は、竹田勝正に好意をもっている自分を発見すると、勝正を真剣に包み込もうとします。
有名な女優と言う立場上、一人の男性と会う事はマスコミに知られたら、大変だと言う事は承知していますが、勝正の大切な友人の一人になり、ずっと縁を持つ決心をしたのです。
いえ、勝正が立ち直るまでは、雅子のいうように、二人きりで頻繁に会ってあげようとさえするのです。
だからそんな結花の誠意は通じて、結花が誘った雅子の墓参りに、二人で行った時に、勝正はやっと昔の勝正に戻る事はできました。
勝正についていた悪意を持っていた霊達が囁いても、勝正は受けつけようとはせず、「縁の花を私も一緒に育てさせて欲しい」という結花の気持ちを信じる事ができるようになりました。
縁の花やいろんな花が囁く言葉に、耳を傾けるようになったのです。
こうして、結花と勝正と言う、女優と平凡な男性という面白いカップルが誕生しました。
二人は、メール交換を中心にしながらも、たまに友人としてデートを楽しむ関係にさえなりました。
結花は、勝正がいい作品を書いて、「縁の花」が誉めてあげて欲しいといった時には、一緒に映画などもみて、縁の花の代わりに優しくしてあげる、そんな関係を楽しんだのです。
と同時に、そんな結花の決断は、結花にとって大きな幸運を運んできました。
秘密に付き合っていた二人の関係は、4ヶ月後には週刊誌などでばれてしまいますが、女優の結花が、何の取り柄もない男性と付き合っているという記事は、多くの人に共感を与えます。
記者会見の時に、結花が勝正はすばらしい友人の一人であって、恋人ではないと否定しても、マスコミはカッコウの話題として取り上げ、結花は、自分も勝正のように、女優と親しくなれるのかと思いたい多くの平凡な男性、女性に支持されるようになりました。
多くの人は、結花の姉がアメリカテロ事件でなくなったことや、その姉の意思を後で知った妹の結花が、姉の意思を継いで、勝正の書いている縁の花という、インターネット上で、心に咲く花を育てたいと言う話に感動しました。
結花は、勝正を大切な友人だといいながらも、勝正に対する愛情が一杯なのか、勝正のホームページ、「縁の花」を上手にマスコミに紹介し、多くの人に共感を与えたのです。
ですからそんな結花に対して、一気に人気が出て、ますます女優として認められるようになったのです。
しかも結花は、世間に、本当という生き方を定着する事に成功しました。
結花が勧める「アクリルたわし」や「洗濯機に炭を使って洗う方法」は大きなブームになってしまったのです。
だから結花は、女優だけでなく、ニュースキャスターの仕事なども担当するようになります。
今迄、船井幸雄やその他のいろんな本当の先生がなかなか広げられなかった本当の考え方を、始めて、世間一般の人達、特に若者の人達に浸透させる事に成功したのです。
∈∈「武田家の花」∋∋
結花の記者会見は、勝正の人生を大きく変えました。
記者会見で結花は、勝正の関係を恋人ではなく、いい友人だと否定しながらも、その勝正のホームページ、「縁の花」の事を、必死で宣伝してくれていました。
結花は、記者会見を勝正との関係を否定する為でなく、縁の花の事を宣伝する為に開いたのです。
だから多くの人は、勝正のやっている活動にも興味を持ちました。
縁の花のホームページをたくさんの人が見るようになり、本まで出す事ができました。
勝正の本、「縁の花」はそこそこ売れたのです。
でも勝正自身は、だからといって変わる事はありませんでした。
本人自身、有名な人物としてやっていける性格ではない事を自覚しているのか、マイペースのままでした。
仕事は、縁の花に集中したいという事で辞めましたが、フリーライターとして、地道に縁の花を書いていたのです。
だから、結花と勝正の仲は、本当にうまくいきました。
勝正は、北山家の両親や、高坂加奈代などにも祝福される事になりましたし、何よりも、いい歳をして、まだ独身でいる事で心配させた勝正の両親、正成と美恵子もほっとさせたのです。
でもそんな二人に対する妨害もありました。
二人の周りのいろんな人の背景に、いろんな悪霊がついて、二人の事を邪魔しようとします。
戦国時代の衣装を着た霊達や、世の中を良くしたくないと言う霊達が、いろんな人を操って、二人の関係を壊す記事やマスコミを使って中傷を流そうとするのです。
でも二人は、そんな霊達を恐がる事も,忌み嫌う事もありませんでした。
縁の花にその理由を教わったからです。
というのも縁の花は、二人の前世が、武田勝頼とその妻だった北条の姫だと教えてくれ、二人はそれを信じていました。
勝正は,昔から、何故か武田信玄を中心とした武田軍が、戦国時代に活躍した軍団の中で一番好きでしたし、北山家の先祖は、北条家の重臣の一人でした。
そんな事を知らない縁の花がいっただけに二人は信じるしかなかったのです。
と同時に、勝正は、その事を理解すれば、何故、武田家の霊達が自分を憎むのかもその理由を分かりました。
というのも武田勝頼は、今はだいぶ見直されようとしていますが、今までは長い間、偉大な父親を持った典型的な二代目として歴史上では悪く評価されていました。
信玄が育てた重臣のいう事を聞かず、勇猛だけで頭がよくないのか、長篠の戦では、柵を作って、3千もの鉄砲で待ち構えている織田・徳川連合軍に、馬を中心とした騎馬隊で突進して、有能な家臣や1万人ちかくの兵を殺した駄目な二代目といわれていたのです。
ですから歴史に詳しい勝正は、勝頼が、今も武田家の霊達に恨まれているという事は、理解できました。
勝正は、自分が武田家の霊だったらと考えると、今も武田勝頼を恨む気持ちが分かるのか、武田家の霊達に何もいえなかったのです。
むしろ恨むのは当然だと思ったのです。
といって、では何もしなかったらいいという事ではありません。
勝正と結花は、自分達が、武田家の人達に、何をしてあげられるか考え始めるのです。
そして勝正と結花は、まず武田家の墓参りに行きます。
供養してあげようとするのです。
でも武田霊達は、そんな事では満足しませんでした。
いろんな妨害をして、二人は武田家の霊達が持つ怒りの大きさを知る事になります。
結花の夢には、武田家の霊達が現われ「こんな程度では決して許さない」と言われてしまうのです。
しかし二人は、それでも何とか供養しようとします。
縁の花は、どうしたらいいか教えてくれませんでしたが、勝正は、武田家の家臣の立場になって、縁の花で素直に自分の誹を詫びたり、武田家が、天下を取るような小説の粗筋を書いたりしました。
こうすればよかった。こうしたかったという思いを、正直に書いたのです。
それを書く事で、武田家の家臣が持っている無念さを晴らそうとしたのです。
と同時に勝正は、長篠の戦で何故負けたのか、あの時の心境も不思議と良く分かるようになりました。
今、いろんな歴史書物の中には、川中島合戦や長篠の合戦などを詳しく取上げたり、何故武田家が滅んだのか、当時の武田家の内情を深く研究したりした資料もあり、勝正はそれを真剣に読む事で、武田家の霊達に、自分がいたらなかったと思う所は素直に詫びたのです。
また結花には、不思議と、勝頼の妻である北条の姫の演じる役が来て、結花はその役を引き受けると、武田家の霊達の事を思って必死で演じました。
その結花の演技は、武田家が滅んで勝頼と共に自害した北条の姫の悲しい心境がよく出ているという事で、映画で多くの人に絶賛されます。
結花はその演技で、大きな映画の賞も取りました。
武田家の霊達の無念だという思いを、映画を通して、日本中の人達に知って貰う事ができたのです。
そしてその事で、やっと武田家の霊達は、満足したのか、勝正や結花の背景からも、周りの人の背景からも消えていきました。
結花の夢の中では「ありがとう」と武田家の霊達が感謝を述べると、馬に乗って霊界に帰っていったのです。
(天よ、武田家の霊達を救わせて下さい)
∈∈「済度の花」∋∋
武田家の霊達が霊界に帰っても、結花に見える霊達は、まだまだたくさん居ました。
太平洋戦争で亡くなった霊達、もっと古い江戸時代になくなった霊達、戦国時代、鎌倉時代、平安時代など、いろんな時代の霊達が、結花には見えていました。
そんな様々な時代の霊達が、今迄ずっと待っていたのか、武田家の霊達を救ってから1週間後には無数に結花と勝正の背景に急につくようになったのです。
しかもその霊達は、人間だけでなく、魚や牛などの多くの動物や植物の霊達も同じでした。
そういった霊達も数え切れないぐらい二人の背景についたのです。
だから二人は、その背景が重すぎて、その日は一日中体が動かす事ができませんでした。
勝正は右肩が急に上がらなくなってしまいましたし、結花は声が出なくなりました。
お互いの家から一歩も出られなかったのです。
その上に二人は、どうして多くの霊達が頼ってきたのか、その理由は分かりませんでした。
霊達は、二人の背景から離れようとはせず、その訳も言わなかったからです。
それで二人は困ってしまって、翌日森山清美先生の友人の小林直樹という、霊媒師の人にお祓いをして貰いますが、まったく効果はありませんでした。
小林直樹霊媒師は、お経や般若心経を読んだり、護摩を焚いたり、塩で清めたりしましたが、霊達は結花の身体を借りて、「そんなもの痛くも痒くもない」と笑ったり、からかったりするだけでした。
しまいには「結花の身体から出て行け」という小林直樹霊媒師の身体に入って、小林直樹霊媒師は倒れてしまったのです。
だから二人は諦めてしまったのです。
でも霊達は、二人を苦しめるつもりはありませんでした。
勝正の肩は1週間すぎても治りませんでしたが、結花は翌日には治って、女優の仕事には支障はなかったからです。
その事から考えても、霊達が、二人を困らせようとしているのではなく、何かを必死で訴えている事は明白でした
これには、何か大きな意味があると感じ、その意味をお互いに考えたのです。
そしてやがて二人は、人間が病気の原因になる原因に、背景の霊達が係わっている事に気が付きました。
癌とか、脳出血などの病気になるのは、背景の霊達の思いが原因の一つだと言う事を直感で感じたのです。
また、勝正と結花が、それに気が付いた瞬間、それを待っていたのか、大きな進展がありました。
その晩夢の中で、いろんな霊達が、結花にそれぞれの思いを訴えたからです。
それは最初、霊達が焦っているのか、様々な事をいうので、結花は何を言っているのか分かりませんでしたが、縁の花や雅子が出てくると、霊達の話の仲介する事で助けてくれて、やっと結花は霊達の訴えを聞けました。
霊達が苦しんでいる事を知ったのです。
というのもまず霊達が、結花に訴えたのは、私達もあなたの一部だから、もっともっと意識して欲しいという事でした。
結花や勝正が、背景にいる自分達の存在に気が付いてくれた事は嬉しいけど、まだまだ私達に対する意識が不足している。
霊達には、結花や勝正の思いは、全部波動で伝わるので、隠し事はできない、どの程度自分達の事を思っていてくれるか全部分かるというのです。
だけど、その霊達の訴えは、結花には驚きでした。
役者の視点で考えれば、今迄気が付かなかったけど、自分が演じる人生をじっと見ている霊達という無数の観客がいた。
そんな霊達という観客からは、どの人も主役のスターだと言う事を始めて知ったのです。
しかもそんな観客である霊達は、役者である人間と同じように演じたがっています。
霊達は、結花に一つお願いがありますというと、
「私達は肉体がないので、おなかが空くわけじゃないけど、食べたという感覚や、お風呂に入ったり、カラオケで歌ったり、ドラマや映画で演技したり、恋とか、キスしたり、抱きあったり、愛し合ったりしたい。あなたが味わっているいろんな感覚を私達も味わいたい」と必死で頼んだからです
その言葉で結花は始めて、霊達がつくのは恨みなのではなく、単純にいろんなものを食べたかったり、いろんな事をしたがったりしているだけなのだという事を理解しました。
今迄自分は、背景に居る霊達は、霊界に帰れなくて迷っているのか、武田家の霊達のように、恨みを持っているのかと思っていたから、そんな霊達をどうやったら成仏させられるか、いなくなってくれるかと願っていたけど、それは間違っていた。
この世には「悪霊なんかいない」、どの霊達も、縁あって私をじっと見ている、ファンだという事に気がつき、大切にしないといけないと思ったのです。
また結花がそう夢の中で思うと次に、結花に食べられた牛や魚さんの代表が、結花に自分達の訴えをいいました。
「人間は私達を平気で殺し、当然のように食べるけど、私達だって殺されるのは嫌だし、痛い。そんな私達の思い、恨みの波動を持っているものを食べるのだから、病気にもなる。病気になるのは、そんな人間にせめてもっと感謝して食べて欲しいと言う私達の訴えなのに、誰も私達の存在に気が付いてくれない」と悲しいそうにいったのです。
その上に牛や魚達も、結花に一つのお願いをしました。
「私達も、人間のように自由意志で何でも行動できる、万物の霊長、人間に生まれ変わりたい。そんな魂の進化をしたい。殺されるのは構わない。次に生まれ変われるから。でもその時に、食べる時には、次に生まれ変わる時には、もっと成長した存在、早く人間に生まれ変わりなさいと言う願い、波動を届けて欲しい。万物の霊長としてのあたたかい思いをくれたら、私達は早く、進化できる」というのです。
だから結花は、その牛や魚さんに、約束しました。
今迄感謝して食べていたつもりだったけど、それがたりなかった。
これからは早く人間になってねという願いを届けるから許して欲しい。
結花は、夢の中で泣き、実際にも涙を流しており、やっと夢から覚めたのです。
夢から覚めた結花は、さっそく勝正に電話して、マンションに招待しました。
外で話せる話ではなかったからですが、勝正は始めて結花のマンションで二人きりの時間を過ごす事ができたのです。
そこで結花は、夢の内容を伝え、二人でどうしたらいいか考えました。
とにかく実践でやってみようという事になったのです。
また勝正は、結花の手料理をごちそうになりました。
結花は、夢の中で霊達が訴えていたように、料理をいっしょうにつくろうねと心の中で呼びかけて作り、勝正はそれを食べる幸せを味わいました。
結花の料理は、ものすごくおいしかったのです。
しかも勝正と結花は、その料理を、食べたがっているいろんな霊達といっしょに食べました。
そう意識すると、二人の体の中に、霊達も入ってきて、共に食べている感じがして、不思議な気がしました。
今迄食べた事もなかった料理を食べて感動した霊達の気持ちや、食べたかったのにずっとおわずけされていた霊達の気持ちが分かり、結花は泣き出したのです。
と同時に、その料理の元になった、お肉や野菜や魚に、二人は感謝しました。
全てのものに魂、意識がある事を自覚して、心から感謝し、今度、生まれ変わる時は、早く人間に生まれ変わって下さいという願いもかけました。
そう心の中で呼びかけ、魂の進化を願って食べたのです。
勝正の右腕が動くようになったのは、その後でした。
今迄、はしを満足にもてなかった勝正の右手が少し動くようになったのです。
でも勝正の右手は、霊達と一緒に食事だけでは治りませんでした。
まだ何かが足りなかったのです。
それで結花は、そんな勝正の為に、今日、一日は、友人としてではなく、本当の恋人として接する事にしてあげました。
結花の背景にいる霊達や勝正の背景にいる霊達の為に、愛し合う気持ち、恋人感覚を味合わせてあげたいと思ったのです。
だから結花は、勝正に一日、恋人として過ごす事を提案し、勝正をますます喜ばせさせました。
結花が優しくしてくれる度に、右肩が少しずつ上がっていったのです。
と同時に、そんな結花のあたたかい思いは、今迄越えられなかった二人の関係を自然に超えさせました。
というのも二人の背景にはまだ、二人の事を恨んでいる霊達達がおり、二人が愛し合う事を邪魔していました
そんな背景にいる霊達の思いが、結花の気持ちには反映して、心のどこかに、勝正に対して、女優の私とは釣り合わないという気持ちが生まれましたし、勝正にも、結花の事は好きだけど、自分の手に届かない女優と言う気持ちがあって、友人の境を越える勇気を持てなかったのですが、霊達にはそんな事は関係ありませんでした。
結花や勝正の中に、恋をしたかったとか、愛し合いたかったという霊達の思いが、どんどん入ってきたのか、結花は始めて心から勝正の事が好きになる事ができました。
今迄持っていた二人のわだかまりを取っ払ってくれたのです。
だから後は結花にしろ、勝正にしろ、自分達の意識ではそんな霊達の思いを止める事はできなかったのか、やがて二人はキスをし、深い関係になってしまいました。(やったね。読者の皆さんごめんなさい。役得です)
勝正は始めて、結花と二人きりで一晩すごす事になり、夢のような一日を味わったのです。
二人が男女の縁を持てた事に気が付いたのは、翌日の朝でした。
ベッドの中で、生まれたままの姿で抱き合っているのに気が付いてお互いにびっくりしたからですが、それでも二人には自然でした。
記憶はところどころありませんでしたが、二人は愛し合った事を覚えていました。
結花は、愛する人ともっともっと抱き合いたかったと言う霊達と一体となって、その喜びを感じており、霊達の愛する人に抱きしめて欲しかったと言う気持ちが、痛いほどよく分かったのです。
だから結花は、勝正を受け入れました。
二人は、その朝、愛し合いたかった霊達と一緒に本当に愛し合い、結花は勝正の恋人になっていました。
二人の背景にいて、邪魔をしていた霊達も救われたのか、結花は、心から勝正を愛する事ができるように、背景が変わっていたのです。
と同時に、勝正の右肩も、気が付いたら治っていました。
霊達も、たくさん救われた事を、肩の治り具合で教えてくれたのです。
ですから二人は、その日を境に、いっしょに住む方向に向かいました。
結花の事務所の人達を説得するのは大変だと覚悟していましたが、あんなに反対していた事務所の人達も、あっさり認めてくれたのです。
こうして二人は事実上、恋人になったのです。
また、結花と勝正は、恋人として暮らす事で、愛し合いたかったという背景にいる多くの霊達を救っていきました。
夢の中で、救われた多くの霊達が、結花に感謝を述べてくれるので、結花は、二人が仲よくする大切さを実感しました。
お互いの背景の霊達は、仲がよくなかったら、決して救われない事を知ったのです。
と同時にそんな二人の関係は、二人に幸運を与えました。
いろんな霊達が、二人にお礼をしてくれたのか、幸運を運んでくれます。
結花は女優としても、演技を自分だけでするのではなく、女優として活躍したかったけどチャンスを掴む事ができずに亡くなった多くの霊達と、一緒に演じるという事を実践する事で、ますます演技が磨かれていくようになりました。
どんな役も、完璧にこなせるようにもなったのです。
というのも結花は、どんな役を与えられても、その役の心情が分かる霊達と一緒に演じるので、お医者さんや、探偵、離婚、不倫、子育てなどの自分が経験していていない事も、完璧に演じる事ができます。
映画紫式部でも、結花が演じた平安時代の、貴族の女性の心情が見事だという事で、絶賛されました。
日本中の多くの人の背景にいる霊達も、そんな結花の演技が見たくて、多くの人が映画館に殺到して、大ヒットしました。
結花からは、多くの人を癒せる不思議なオーラーが出ていると、芸能の世界ではいわれるようになったのです。
また勝正の方も、ものすごい幸運がやってきました。
結花の愛に支えられて、さっそく体験した霊達の思いを、縁の花で書きました。
霊達と一緒にやる事の大切さを読者に訴え、霊達を祓う必要はないという事を書いたのです。
そんな第〇〇〇号は、結構反応がよく、多くの人が支持してくれ、結花の話では、縁の花も本当に喜ぶ内容だったと聞かされて勝正は幸せを感じました。
結花の夢の中には、こういった霊を救う活動をする、済度の花と名乗る花がお礼に出てきたと言うのです。
しかも女優の結花が、平凡な男性、竹田勝正と恋人として付き合っているというスキャンダルがばれて、マスコミは勝正の事を、超ラッキーな男性と報道する事で、勝正は有名になりました。
多くの人が、そんな奇跡の理由を知りたがり、勝正のホームページは、多くの人が見るようになりました。
一日に、2千ちかくの人がアクセスするようになり、縁の花の本は、爆発的に売れ始め、多くの人が、結花や勝正のように霊達といつもいっしょに行動するようになったのです。
だから結花の夢の中で、霊達に教わった、勝正が名づけた済度という活動は、日本中でブームになり、いろんなカップルが、霊達と一緒に、何事もするようになりました。
結花と勝正だけでなく、多くのカップルが、膨大な霊達を救うようになったのです。
そしてそんな結花と勝正の活動のおかげで、縁の花は爆発しました。
結花のみた夢では、宇宙から地球を見る事ができ、何と縁の花が、日本中で大きく咲いて、日本の国が花壇になっている光景が見えていました。
その中で富士山並に強大になった一番大きな縁の花が、心からありがとうといったというのです。
(天よ、食べたかったとか、風呂に入りたかったと言う魂や、恋人ともっともっといたかったとか、抱きしめて欲しかったと言う魂を救わせて下さい)
(人間に食べられたり、殺されたりした動物や植物、すべての生物の魂を救わせて下さい)
∈∈「出会いの花」∋∋
結花と勝正が恋人としてお付き合いが始まって3ヶ月が過ぎました。
二人はその間幸せそのものでした。
勝正の両親は泣いて喜び、勝正は結花の実家、美智子と明雄の両親にもかわいがって貰えました。
結花の両親は、何故、結花が、勝正と付き合うようになったのか、不思議で仕方がありませんでしたが、勝正の人柄には好印象を持っていました。
勝正の性格だと結花と喧嘩する事はとても想像できません。
完全に、結花にリードされているからです。
結花の両親は、そんな二人の関係をみて、うまくいくと確信したのです。
またそんな結花と勝正の二人は、次々と、与えられていた課題も果していきました。
結花は、雅子から頼まれた、高坂久文とのデートも実施しました。
久文はまだ完全に立ち直れていませんでしたが、ようやく雅子の事を忘れようとしていました。
その事は、雅子にもよく分かっています。
雅子自身も、久文の背景から囁き、そう仕向けたからです。
新しい女性との出会いさえ、雅子は用意していたのです。
でも久文の心の中には雅子の存在はまだまだ大きかったですし、雅子自身も、久文との思いをまだ持っていました。
久文とは、日本に帰ったら、いっしょに行こうと約束していた所もあったのです。
だから雅子は夢の中で、結花に、それを果して欲しいといい、結花は、その思いを実現させてあげました。
事情がよく分からない久文を誘って一日デートをしたのです。
そしてそこで雅子は、結花の身体を借りて、自分の思いをとげる事もできました。
久文には、「私を姉さんだと思って下さい」といった結花の言葉の意味は理解できなかったのか、雅子を感じる事はできませんでしたが、雅子は結花を通して恋人気分を味わうと、食事をしたり、手を握ったりして、十分に久文とのデートを楽しみ、久文と最後のお別れをしました。
もう二度と久文の背景にいない決心をしていたのです。
だから雅子は最後のお別れを、結花を通してしたのです。
また縁の花も、結花にお願いして、ある思いを実現させました。
というのも縁の花が誕生したのは、勝正がラブレターを、山縣結香という女性に送ったのがきっかけでした。
勝正は、それをきっかけに文章を書く才能に目覚め、いろんな文章を書いています。
縁の花という名前も、山縣結香に出したラブレターの一説からとっていたのです。
ですから山縣結香の存在は、縁の花に取っては産みの母親になります。
しかしそんな山縣結香と武田勝正の縁は、まったくありません。
勝正は、山縣結香にラブレターを書いた時からまったく相手にされていなかったのです。
でも縁の花にとっては、山縣結香の存在は大切でした。
ずっと感謝していたのです。
ですから縁の花は、結花の夢の中に登場すると、あるお願いをしました。
結花は、その縁の花の願いで、始めて山縣結香の存在を知り、勝正には内緒で、山縣結香に会うと、その約束を果しています。
山縣有香には、今、大きな悩みがあり、自殺を考えようとしていました。
それで結花は、縁の花から教わったある助言を伝えました。
「縁の花はずっと見守っているから、元気を出して、死んだら駄目だめですよ」結花は、そういうと、縁の花から頼まれたお金と縁の花の本を渡しています。
山県有香はそんな結花の行動にびっくりしながらも、最後には、その申し出を受け入れ、二人は親しくなりました。
武山勝正が、縁の花というものを書いている事自体、山縣結香はまったく知りませんでしたが、結花の話に納得し、結花と結香は友人になっていたのです。
二人はこうして、雅子や縁の花が与えてくれた幸せ、嵐の前の静けさを過ごしたのです。
(天よ、紫陽花の初恋の女性、縣結香さんの魂と、その背景にいる霊達を必ず救って下さい)
(天よ、紫陽花の両親やご先祖様、岩谷家、寺垣家の背景にいる魂を救って下さい)
∈∈「アメリカ同時テロ事件の花」∋∋
アメリカを中心とした、米英軍がアフガニスタンを攻撃してから、ちょうど2年が経過しました。
最初は、楽観されていた米英軍を中心とした多国籍軍の攻撃も、うまくはいきませんでした。
タリバンは弱体し、テロを企てた犯人とされたビンラデイン氏は、米軍の攻撃で死んでしまいましたが、アフガニスタン自身の混乱は、ますますその深刻度を深めました。
いろんな民族が、争いを始め、米国も打つ手がなくなりました。
タリバン自体も、山岳部で生き残り、米国の軍隊を持ってしても、収拾がつかなくなったのです。
でもだからと言って、米英軍はアフガニスタンの戦場から撤退も簡単にはできませんでした。
今、米英軍が撤退したら、抑えている箍が外れて、アフガニスタンは内乱が勃発する事は分かりきっています。
引くに引けなくなっていたのです。
また、もっと深刻だったのは世界経済でした。
アメリカ中枢同時多発テロ事件で、被害を受けたアメリカ経済は、どんどん悪くなり、世界に波及して、世界恐慌まで後1歩に迫っていました。
しかもイスラム諸国の国民の不満も爆発しようとしており、中東で、もっと大きな戦争が起こる可能性さえありました。
イスラエルとパレスチナとの争いをひきがねに、第3次世界大戦が起こる予感がしていたのです。
でも誰にもどうする事はできませんでした。
ブッシュ大統領を中心とした米英軍のスタッフは、戦争を止めようとしなかったのです。
しかしそんな中で希望の光はありました。
米国や英国でも、戦争に疑問を感じる人が増え、米国内でも、反戦ムードが誕生してきました。
戦争を反対する人が増えてきたのです。
そしてそんな中で、多くの影響を持ち始めたのは、アメリカ中枢同時多発テロ事件で亡くなった被害者の人達の声です。
被害者の中には、亡くなった私の息子は、報復なんか望んでいないという人がおり、そんな人達の意見を、アメリカの新聞の広告に載せて、多くの国民に知って貰うと言う グローバル・ピース・キャンペーンという運動が、盛んになっていました。
アメリカ国民も、亡くなった人達の思いは、一体、何を望んでいたのだろうと考えるようになっていたのです。
また、そんな中で、注目を受け始めたのは、同時多発テロ事件で、姉を亡くした北山結花の存在でした。
結花は二年後、雅子の願いで、ついに報復反対の運動に参加すると、姉の雅子は報復なんか望んでいないという声をあげました。
夢の中で、雅子から聞いた訴えを、日本のマスコミや世界のマスコミに伝え、多くの国民に感動を与えました。
勝正も、そんな雅子の思いを、縁の花で紹介し、たくさんの人から支持されました。
そんな意見に反論するマスコミや被害者の遺族もたくさんいましたが、少なくても、多くの人が被害者の気持ちを考えるようになったのです。
だから米国政府も、結花や縁の花の存在を無視する事が出来なくなりました。
女優の結花は、英語も少し話せ、不思議なオーラーが出ているのか、目立ちます。
日本だけでなく、米国のマスコミも取材するようになったのです。
しかし、こういった展開に進んでいったのは、実は、裏に雅子達、天使になった霊達の活動がありました。
雅子達天使は、被害者の人達の背景で反戦を必死で訴え、そんな雅子達の活動は、被害者の人達の心を動かし、米国民の心を動かそうとしていたのです。
そんな雅子達の活動が、実を結んだのは、ブッシュ大統領と結花達、被害者の人達との会談が決まった時でした。
ブッシュ大統領も、米国の世論に押され、被害者は報復を望んでいないという人たちの声を聞かないといけなくなりました。
結花達は、ブッシュ大統領に直接、その声を伝えたいといい、ブッシュ大統領も、とうとう結花達をホワイトハウスに招くようになったのです。
それが、平成15年12月23日、クリスマス前ですが、これは運命の日になりました。
雅子達天使も、そんな結花とブッシュ大統領との会談に賭けていました。
その時に、ブッシュ大統領の背景の霊達と本気で対決しようとしていたのです。
しかしその反面、こんな雅子達天使の活動は、戦争の継続を望んでいる霊達の反発も生みました。
いろんな霊的な妨害もされました。
売名行為だといって結花を罵るジャーナリストや、命を狙おうとする人もいたのです。
だけどそんな悪意を持った霊達の動きは、雅子達天使と強大な花になった、縁の花によって防がられました。
ついに当日がやってきたのです。
ブッシュ大統領と結花達、被害者の会話は、1時間行われる予定でした。
和やかに行われたのです。
しかし、表面とは違って、影では激しい戦いがされていました。
ブッシュ大統領の背景には、戦争を望んでいる悪意を持っている霊達、結花達の背景には、雅子達天使がいます。
激しい議論が、目に見えない世界で行われていたのです。
またそれは結花には見えていました。
ブッシュ大統領の背景の霊達と雅子達天使が見え、議論している話も聞こえていたのです。
だけど、その議論は最初、まったくかみあいませんでした。
ブッシュ大統領の背景にいる霊達は、雅子達の話を聞こうともしませんでした。
アメリカテロ事件で亡くなった外側にいる霊達が、ブッシュ大統領の背景の中枢にいる霊達までちかづかせようとしなかったのです。
だからこのままでは、いくら話し合っても、駄目だと思われていた時、ついに、武田家の騎馬軍団が動きました。
信玄率いる武田の騎馬軍団や、他の戦国時代に活躍した霊達が、結花の背景に現われると突入し、ブッシュ大統領の背景の外側にいる霊達を蹴散らし、中枢に雅子達がちかづけるようにしたのです。
ですから始めて雅子達は、ブッシュ大統領の中枢にいる霊達、昔からいろんな指導者を操って戦争などを起してきた霊達とゆっくり話をする事ができました。
本音で話をしたのです。
でもその話は、なかなかかみ合いませんでした。
悪意を持った霊達には、霊達のいいぶんがあります。
米国を中心とした巨大な軍事力で、世界を支配して、戦争のない社会を創るといっており、その歪んだ考えに、雅子達天使の説得は通じなかったのです。
だから雅子達の話し合いは終わろうとしていました。
ブッシュ大統領は、あくまで戦争に反対する結花達の意見に、激怒して、途中で会談を中止しようとしたのです。
しかしそれは防いだのは結花でした。
結花は、必死で、ブッシュ大統領を引き止めると、静かに、ブッシュ大統領やスタッフの背景を願う事にしました。
ブッシュ大統領と議論するのではなく、ただただその背景の霊達が成仏して、霊界に帰れる事を「天よ、どうか、多くの霊達を救ってあげて下さい」「神様、どうか、ブッシュ大統領の背景にいる霊達を救ってあげて下さい」と涙ながら念仏のように心の中で願ったのです。
奇跡が起きたのはその時でした。
結花の願いは届いたのか、暗闇だったブッシュ大統領の背景に天から小さな光がさし、どんどん霊達が救われたのか、光に吸い込まれると天に登っていきました。
霊達が救われ始めたのです。
でもその光は、本当に小さくて、ブッシュ大統領の背景に居る膨大な数の背景の霊達は、救う事は不可能でした。
その時、雅子が、結花の前にやってくると、「救ってくださいじゃないでしょう。結花が救うのでしょう」と囁きました。
その雅子の一言に結花は頷くと『天よ、どうか、背景の霊達を救わせて下さい』に変え、その瞬間、光は大きくなっていきました。
しまいにはブッシュ大統領よりも大きくなっていったのです。
ですから背景にいる霊達は、どんどん救われました。
抵抗していた頑固なブッシュ大統領の中枢にいた霊達も、やがて光に吸い込まれてしまったのです。
こうして雅子達天使のたたかいは、終わりました。
ブッシュ大統領の表情は見違えるように変わり、さっきとは全然違うものになっていました。
考え方も変えたのか、結局、時間を延長して、3時間も話をしたのです。
でもその戦いの勝利は、結花と雅子のお別れでもありました。
雅子はそれに安心すると、使命を果したのか、霊界に帰る決心をします。
結花に、「この世にはまだまだ救われていない霊達がいるから頼んだわ。霊達といつもいっしょにしてあげて。勝正さんを大切に」というと、光の中に入り、武田家などの霊達と一緒に霊界へと帰っていったのです。
終わり
ブッシュ大統領がアフガニスタンから撤退を表明したのは、2日後のクリスマスでした。
その後の心配した内乱も、結花達が、「天よ、どうか、自分の背景にいる、霊達を救わせて下さい」という言葉をと心の中で唱えながら、何事もどんどん霊達といつも一緒にする事で(済度)で多くの霊達が救われたのか、何事も起きませんでした。
世界は二度と戦争がない、平和な星になっていったのです。
「よかった。よかったです」
平成13年12月8日(日本が太平洋戦争、真珠湾攻撃した日)
(天よ、紫陽花の縁の花の読者の魂だけでなく、その背景にいる多くの魂を救わせて下さい)
追伸、紫陽花のドラマ「いつもいっしょにしようネ」はこうして終わりました。
皆さんの感想はどうですか。
やはり、紫陽花自身が全面に出てしまいました。
皆さんの中には、とても読めないと言う人がいるかもしれませんね。
だけど、紫陽花はなかなかいい作品になったと思います。
これで何よりも紫陽花の背景の霊達が救われたのだと思いますし、紫陽花の縁ある多くの友人や、好きな役者さんを登場させる事で、その人達の背景にいる霊達も救わせて頂く事を願って書いてきましたが、それはある程度成功したと思います。
さっそく紫陽花は、金沢の河内晢先生にも読んで頂いて、たくさんの有縁ちゃんを救って頂く事をお願いするつもりです。
それだけでもものすごい価値があります。
また紫陽花の前世が武田勝頼だと済度の霊言を出す人からいわれた事や、紫陽花の肩が上がらなくなったけど、済度で救われた事も本当ですし、信じられないかもしれないけど、紫陽花の職場の浅井さんの夢の中に、縁の花やいろんな花が登場してきて、紫陽花にメッセージを伝えてくれたのも本当です。
ただし、その夢の中に出てくる縁の花は、「いつも一緒にしようネ」の物語程、優しくないし、厳しい事ばかりいうので、紫陽花は疑問を感じて、素直に聞けず、縁は切れてしまいました。
ある意味では、この作品は、そんな縁の花に対する紫陽花のお詫びでもあるのです。
と同時に、「いつも一緒にしようネ」で出てくる言葉は、物語を分かり易くする為に、実際に、河内晢先生から教わった言葉を少し変えています。
ただ済度という活動の基本は外れていません。
世界中の霊ちゃんを救って、世界を平和にする事は、済度の願いです。
是非、皆さんも「いつも一緒に一緒にしようネ」と霊ちゃんに呼びかけて、21世紀自分だけでなく、霊達と共に行動する事を願って、2001年を終えたいと思います。