縁の花
(21世紀に咲く智恵の輪)
第457号
「新武田戦記」シミュレーション済度4
∞「武田信勝、織田信長に勝つ」∞
武田軍、織田軍とも、力攻めでは落とせず
調略でしか落とせなかった
難攻不落の岩村城を
織田信長の五男で、遠山家を継ぐはずだった
織田勝長の活躍で、
たった一日で、落としたことは
徳川家の要請で、3万の大軍で
浜松城を奪還し
遠江を、徳川家に取り戻すつもりだった織田信長に衝撃を与えました
織田信長は、その事を、逃げて来た、岩村城の城主だった
河尻秀隆の息子、河尻秀長から報告されると
浜松城奪回作戦を中止すると、岩村城に、兵を向けました
岩村城は、織田家の本拠地、岐阜城に近く
浜松城を奪い返すどころではなかったのです
真田昌幸の策は、見事に成功したのです
しかし、その後、新武田戦記の世界の話では
岩村城を、遠山家の本来の世継ぎだった坊丸
成人した織田勝長が、奪還した事で
恵那郡を収めていた他の遠山一族に動揺を与えて
苗木城、明智城、飯羽間城などの城主である遠山一族が
勝長の元に戻って来るために
武田家に、あっと言う間に降ったと言う事ですが
それは、どうでしょうか
俺は、いくら遠山家の一族、恵那郡の兵達が
織田信長に、一族を討たれたと言う恨みを持っていたとしても
恵那郡の各城が、武田家に降ったと言う事には無理がある気がします
何故なら、この当時の織田家の勢力は
武田信玄の時とは、まったく違います
領地は、武田家の何倍にもなっていて
裏切ったら、織田家を酷い目に合うと分かっている遠山家の一族が
簡単に、武田家に靡くとは思えないのです
なので、俺が、シミュレーションさせて貰えるなら
救援に来た3万程度の織田軍と
苗木城、明智城、飯羽間城で戦います
これらの城は、小さい城なので
落とす事は難しくありませんし
これらの城を救援に来た織田軍に対して
野戦を仕掛けて、勝利すると言う設定なら
十分に可能だと思うのです
だけど、作家の河丸裕次郎さんの
シミュレーションは違いました
河丸裕次郎さんは、織田信長に
大軍と言っても3万程度の軍で
岩村城に、篭城する1万7千もの武田軍を取り囲み
その一体の滝川一益軍、3千に、信濃に侵攻させて
高遠城を落とさせ
舟羽長秀軍、3千には、岩村城を押えさせ
続く、織田信忠軍、8千と協力して
岩村城の南に、布陣させ
浜松城との連絡を断たせたのです
その上で、織田信長軍、1万3千が到着すると
岩村城に籠る、武田軍の兵糧が尽きるのを待って
皆殺しにすると言うのです
でも、俺は、この策を、実行するのは
いくら、織田軍が、大量の鉄砲を持っていたとしても
少し無理だと思います
だって、武田軍には、まだまだ余力があって
滝川一益の3千軍で、武田軍の要衝である
高遠城を落とすのは無理ですし
2万4千の軍で、武田軍、1万7千の軍と戦って
必ず、勝てると言うのは、無理があります
織田信長が、羽柴秀吉、明智光秀、柴田勝家なども呼んで
もっと大軍を集めないと
この策を実行するのは無理があると思うのです
また同じように
河丸裕次郎さんのシミュレーションでは
そんな織田信長の策に対して
軍師の真田信之の策は
岩村城に布陣して待つのではなく
むしろ恵那郡から土岐郡まで出て
細久手に密かに兵を伏せて、織田の軍勢が
半数程が、さしかかったところを
武田軍が襲うというものでしたが
これにも、疑問を感じました
だって、信勝が、12歳だと言う事で
油断して、甲斐の上野原の戦いで敗れた北条軍とは違って
織田軍は、上杉景虎、北条氏政、徳川家康が
次々と破れて、討たれている事を知っているので
そんな不意打ちをされるとは思えないからです
ただ、そうは言っても
この細久手まで、武田軍が出る事に関しては
積極的で、策としては、一つの手だと思います
何故なら、武田信勝の元で、かつての信玄公の頃の栄光を取り戻した武田軍が
一気に向かい打てば、強力な柵を立てられない織田軍は
いくら鉄砲を持っていても
白兵戦に持ち込まれて
兵の強さでは、劣る織田軍は大敗したと思うからです
この戦いで、滝川一益、織田信忠は討たれ
舟羽長秀は、捕えられ
武田軍も、仁科盛信が討たれた後
織田信長が、陣を立て直して
両軍の戦線が膠着してしまったと言うのであれば
俺は、十分に納得できるのです
でも、「新武田戦記」の世界では、少し違います
細久手で、武田軍は、不意打ちに成功して
仁科盛信の犠牲があったものの
滝川一益、織田信忠は討ち
舟羽長秀は、捕えて
何とか、辛うじて武田軍は勝利しますが
俺は、不意討ちできたと言う事だけは
納得できないのです
けれど、他の所に、矛盾は感じませんでした
その戦いの場面は、迫力があって
良かったと思います
だって、数は劣るけど
信玄公の頃の強さを取り戻して
織田軍を圧倒する武田軍の強さは
武田家ファンにはたまりませんし
武田軍の御霊達も、大喜びだと思うのです
なので、是非、皆さんにも
武田軍の強さが、再び復活する
この本を読んで
済度して頂きたいと思います
∞「武田信勝、信長と和解する」∞
武田軍が岩村城で篭城せず
恵那郡から出て、土岐郡の細久手で、
織田軍に、不意討ちをした事で
武田軍は勝利しました
この戦いで、織田家の武将である滝川一益と
何と嫡男の織田信忠を討ち
その後、駆け付けた織田軍の鉄砲隊によって
信勝の叔父、仁科盛信を撃たれたものの
その犠牲のおかけで
何とか、真田昌幸が
馬の死体なので、遮蔽物を作った事で
織田軍と武田軍は、にらみ合いになりました
怒りに負けて
動いた方が負けると言う
戦線が、膠着する事になったのです
ですが、ここで、織田の信長が打った手
作者の河丸裕次郎さんの考え出したシミュレーションには
俺は、あっと唸ってしまいました
まさか、嫡男の信忠を殺された織田信長が
こんな事をするとは、俺は、まったく予想しなかったのです
それが、織田信長が、蘭丸を使者にして
武田軍に対して、申し込みさせた
和睦の提案でした
織田信長は、武田信勝に
面会を求めて
講和したいと言う事を
蘭丸に言わせたのです
けれど、この提案は
武田信勝達、武田軍を驚かせましたが
実は、読者の俺も驚きました
いえ、俺は、その時に参ったと思いました
ここで、武田家と織田家が、講和するとは
作者の河丸裕次郎さんのシミュレーションに脱帽したのです
また、「新武田戦記」の世界でも
最初は、叔父、仁科盛信に討たれた事で復習に燃えていた武田信勝も
「呑まないと、すべての領国から兵を動員して
徳川殿とともに、浜松を目指す
水軍を用いて、駿河に上陸する事も
我々にできる事も、お伝えいたす」と言う
蘭丸の半分、脅しの提案に、冷静に考えると
あっさり、呑む事にしました
ただ、その後、織田信長と武田信勝は
武田信勝の提案で
一刻後、場所は、両軍の中間で
従者は、互いに一名のみで会う事になるのですが
そんな事は、戦国時代の常識では考えられない事なので
どうかとは思います
ここだけは、小説の世界の話で
実際に、会う時には
最低でももっと家臣を増やして会うべきだと思います
でも、会った事自体は
織田信長は、蘭丸、武田信勝は、信長の五男で
幼い時に、武田家に捕えられて
勝頼の元で、家族と同じように、育てられて
勝長を連れて会うのですが
この両者の対面は、とてもよかったです
特に、まだ13歳の武田信勝は
あの魔王である織田信長に対しても
堂々と言い返して
その豪肝さは、さすがは、武田家の棟梁だと唸らせました
実際の歴史では、武田信勝は、家督を継ぐ前に
16歳の時に
天目山で、勝頼と共に、亡くなっているので、
武田家の当主として、その力を発揮する事は
まったく、なかっただけに
武田信玄公の御霊、勝頼公の御霊、武田家の御霊達は
21代当主、武田信勝の堂々たる振る舞いに
大喜びしたと思うのです
また、織田信長との会談では
武田信勝が、一旦、和議して、この睨みあいを収めた後
矛をおさめるのは、1か月後して
再び、戦いますかと言うのに
織田信長が、「永遠の和睦とまいろうか」と言う返事をした
シーンも良かったです
織田信長は、ここで、復活した武田家が
信玄公の時よりも強くなった武田家と戦えば
天下統一の夢が、大きく遅れる事を恐れて
武田信勝に、東を任せた、徳川家康になってくれる事を
依頼したのです
しかも、信勝が、織田家とは、信玄の頃からの敵だといって
断ろうとした時に
信長は、信玄殿との同盟を破ったのは
自分ではなく、信玄殿だと言って説得しました
実際に、今の歴史研究でも、浅井長政にしろ、本願寺にしろ
最初に、裏切ったのは、織田信長でない事は分かっています
織田信長は、荒木村重、明智光秀など、家臣にも反逆されているので
冷酷な男だったのかもしれませんが
同盟を、自分から破る武将ではなかったのかもしれないのです
だから、ここで、織田家と武田家が、同盟する事に
俺自身も、大賛成でしたし
武田家が、生き残るには、それしかなかったと思います
シミュレーションなら、いくらでも、戦えますが
実際に、武田家が、生き残るには、それ以外の方法は
なかったと思うのです
武田信勝は、本当に、良く決断をしたと思います
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