いま世界で起きていること(2)
メキシコ湾原油流出事故は数年間止まらない
メキシコ湾にある英BPの石油採掘施設の爆発事故から間もなく2カ月が経過しよう
としています。しかし、米政府関係者は原油流出事故が最悪のシナリオに陥りつ
つあることをすでに認めています。
メキシコ湾の現状:プロ写真集(http://www.katu.com/news/photos/95866799.html
)
今回の事故の原因は、米下院が行った調査では、BPは規制で定められたセメン
トの固定検査も省略し、11万8000ドル(約1080万円)の費用と12時
間の時間を節約しようとしたところにあったと指摘されています。
今回掘削されていた油井は強いガスの噴出が指摘されていて、ガス噴出を抑え込
むのに頑強なパイプの固定化が求められていました。
BPとしては掘削施設のリース費用だけで1日50万ドル(約4580万円)が
かかり、事故発生時点で43日間の工期の遅れがあったので担当者たちにはかな
りの焦りがあったとみられています。
4月20日に発生したこの事故では、BPの請け負い業者であるTransoceanの採掘施設
「Deepwater
Horizon(ディープウォーターホライゾン)」が爆発、11人の犠牲者を出しました
。
ところがこの事故そっくりの映像が、ニコラス・ケイジ主演のハリウッド映画「
ノーイング」の冒頭にニュース映像として登場しているところから、映画を見た
人たちから驚きの声が上がっています。
この映画は近未来に太陽から巨大フレアが発生し、人類の種の保存のために他の
惑星の宇宙人がUFOで別の惑星に
移住させるというストーリーの映画です。
メキシコ湾の石油掘削基地爆発から6週間。これまでの原油流出量は合計で最大4300
万ガロンと推計されていて、米史上最悪の原油流出事故となっています。その後
も推定で1日1万2,000
- 1万9,000バレルが流出しているといわれています。
5月26日から、これまでで最大規模の封じ込め作戦である「トップキル」作戦
を実施。「トップキル」作戦では海底にある油井に大量の泥を注ぎ、最終的には
セメントで泥を固めて流出を防ぐ方法が試みられた。
しかし、「トップキル」は3日間実行されましたが、作戦は失敗だったことをBP
認めました。延べ3万バレルの泥水をポンプで最大毎分80バレルの勢いで注入
したものの、油とガスの流出力がそれより強く、抑えることができなかったこと
が失敗の原因とされています。
しかし、この作戦によって大量の泥水を注入したことで、逆に油井の圧力が高ま
りこれで地殻が壊れ、原油流出が他の地点に拡大している可能性が出てきていま
す。
米のケーブテレビチャンネルMSNBCは、独自映像を公開。
(http://www.youtube.com/watch?v=b2RxIQP0IBU&feature=player_embedded)
海底の割れ目から原油が染み出している状況が、この映像からはっきりと見て取
れます。しかも、これまで流出が発生していなかった複数の地点から原油の流出
が発生している疑いがあることが分かったのです。しかし、当事者であるBPは
、この様なことが起こっていることを現在でも否定し続けています。
米国大気研究所(NCAR)の科学者らがコンピューターの海流モデルでシミュ
レーションしたところ、メキシコ湾の高速の海流「ループカレント」に原油が一
旦流れ込めば、数週間以内にフロリダ半島の大西洋沿岸に到達する可能性が高い
との結論に達しています。早ければ今夏にも、原油はメキシコ湾岸をはるかに越
え、大西洋岸に沿って何千キロも広がり、さらに欧州まで達する可能性が高いと
見られています。しかも、欧州に到達する時期は早ければ今年の8月とも予測さ
れています。
BPはこれ以外にも重大な過失を犯しています。
BP社がメキシコ湾での原油の流出の程度を隠すために、何百万ガロンもの化学分
散薬品の「 コレキシト9500(Corexit
9500)
」を注入しているといわれます。
専門家の指摘によると、 コレキシト9500は石油より4倍有毒な溶剤で、BPの本国
である英国で使用が禁止されている
代物なのです。そのような毒物を数週間も現場でまき続け、ようやく気がついた
米当局の指示でようやく使用を停止しました。
このコレキシト9500の主成分は2-ブトキシエタノール ( 2-Butoxyethanol )
というもので...,眼、皮膚、気道を刺激し、中枢神経系、血液、腎臓、肝臓など
内臓にも重大な影響を与えること
あるといわれます。また、吸入すると咳、眩暈(めまい)、嗜眠、頭痛、吐き気
、脱力感、経口摂取ではさらに腹痛、下痢、
吐き気、嘔吐を生じ、皮膚からも吸収されて影響を生じることがある劇物なので
す。
この 毒性を持つ溶剤が、メキシコ湾の暖水と混ざることによって、その分子が「
相転移」すると科学者たちは指摘しています。
この転移では、液体をガス状に変える作用があり、ガス化した後には雲に吸収さ
れる場合があります。そこから、地上に「毒性を持つ雨」が放たれ、あらゆる生
き物たちの生態系を滅ぼす「想像もつかないような環境の破滅的災害」を引き起
こすかもしれない、と指摘されています。
この「毒性を持つ雨」には猛毒とされるベンゼンが含まれ、かりに人体に吸収さ
れると白血病やがんを発症させるのです。
メキシコ湾ではすでに重油の回収作業にあたる人たちが次々に倒れるという実態
が起きており、また、一部地域では
黒い雨が降ったという報告もあるようです。
米国の海洋大気圏局によると今年は大型ハリケーンに当たり年で、少なくとも大
西洋で18〜20個の大型ハリケーンが発生。しかも、2005年8月末に米国南東部を襲
った大型ハリケーン・カトリーナ級が米本土を直撃する可能性が極めて
高いと予測されています。
ハリケーン直撃でメキシコ湾の海水が風雨となって全米各地にまき散らされば、
米国民の間では深刻な健康被害が
発生。さらには食糧を生産する大地が毒物で汚染されれば、極端な食糧不足すら
引き起こしかねないおそるべき状況にあります。
◎フォトン・ベルト レポート
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