いのちの風 592
平成21年1月26日(火)発信 石黒大圓(だいえん)
産経新聞西日本版12月31日「寝袋いりませんか」 2009.12.31
『大阪の男性 野宿者に無料配布9年目 亡き妻子思い「命助けたい」』
の【原版コピー】です。
http://www.nomo-solution.com/ishiguro.pdf
【今回のテーマ】
路上で寝袋で寝て、恐ろしく寒かった!/野宿者の思いを知る/自己防衛力
いつもありがとうございます。
前回の通信の「寝袋配布体験案内」で、次回1月28日(木)開催と書きましたが、30日(土)に変更します。
29日(金)に大阪都島区倫理法人会で、私が「寝袋9千個配布は亡き妻子からの恩返し」と題して講話させていただきますので、変更させていただきます。 その次には2月5日(金)2月12日(金)・・・と主に金曜日に行なう予定です。
【凍えつつ 孤独に耐えて 朝を待つ】
先週、金曜日の夜に路上で寝袋で寝ました。
恐ろしく寒かった! 寝袋を6人で配ったあと一人、路上で寝ました。 冷蔵庫のなかに頭を突っ込んでいるようなもの。
あの晩の深夜は風もあり気温マイナスとなっていたでしょう。 昔、昼間の釜ヶ崎・三角公園での炊き出しを手伝っていて、3時間で体が芯から凍えた思いがありました。
夜はそれ以下の気温でもっと体が凍えます。 体が芯からゾクゾクとし始めて、これでは風邪を引く、と。 それで3時間でギブアップ。 今週には完全装備で再挑戦します。
寝袋配りが終わって、皆を駅まで送っていったあとで、いつも最後に行く路面電車の恵比須町駅のプラットホームへ向かいました。
最終電車が出ると2〜30人の野宿者が周辺から集まってきてお粗末なコンクリート製の3つのプラットホームで寝ています。 それこそ袋につまった遺体がずらっと並んでいるみたいで、初めて見る人にとっては異様な光景でしょう。
阪堺電気軌道・恵比須町駅
http://michiyo0520.blog20.fc2.com/blog-entry-800.html
ここは深夜には誰も入ってこない。 通行人に足で殴られたり、火をつけられたりする恐れがない安全地帯。
近所には日本橋電器商店街があり、ダンボールがたくさん入手できる。 トイレや水がある、雨が降ったら逃げ回ることもいらない屋根もある。 3拍子そろった理想的な寝場所です。
初めての経験をする素人としては、ここを選びました。
車で運んできた中型のダンボール3個を体の下に敷き、残りの5個で棺おけ風の寝場所を作る。 これを組み立てるのが難しい。
穴が開いたまま、風通しがいいまま、お粗末なままで完成。
寝袋に入って、この中に体を横たえる。 寝袋の上から毛布をかぶせようとするが寝袋に手や体が入って封印状態のままでは手と腕が自由に動かせない。
結局毛布は下に引いたまま。 毛布は前もってクリップなどでとめて封筒状にして、寝袋の上から巻くようにしないといけない。
頭と足元は箱状だが、おなかの上のダンボールは最後の封印のためのもの。
これが完全に出来ていなかったので、風が吹くたびにカタカタと音を立てうるさい。
【豚汁に むしゃぶりついて 生き返る】
最初に寝袋のなかの足が冷たくなってきたので、脱いでいた靴をはく。 靴下は最低2枚必要でした。
強い風が吹くたびに棺おけのなかに冷たい風が通り抜ける。 頭と顔が冷たくなってきた。 山中で遭難して頭にナイロン買い物袋をかぶって生き延びた人がいました。
頭から体温を逃さない、毛製帽子と顔や頭を隠すマスク風のものも必要でした。
外の道路からの自動車の騒音がうるさいし、オートバイなどの暴走車の音でウトウトしていてもすぐ目を覚まさせられる。
眠たいので生あくびが出るが寝むれない。 意識があるままウトウトと時間だけが過ぎる。
朝5時49分始発の電車が出るので、 携帯の目覚ましを5時にセットして頭のところに置きました。 早く起きないと駅員に文句を言われて、先輩野宿者に迷惑がかかると思いました。
あまりゆっくり寝ている時間がない。
人が横を通る場所では、最初は恐ろしく不安で一晩じゅう、まんじりともできないでしょう。 路上で寝て普通より数年老けるのがわかります。
夜は12時ごろまで暖かい地下街などで過ごして、そこを深夜に追い出されて酷寒の路上で寝る。
そして睡眠時間が少ないまま、早朝に起きて、地下街などが開いたら、いっせいにシャッターをくぐって中に入る野宿者たちの姿を見た、という人がいました。
そしてそこでしばらく暖を取って、うたた寝をして缶集めなどの仕事に行く人もいる。 皆が寝ている間に、早く起きて3時ごろから缶集めをし始める人もいます。
人より早くたくさん集める、生き残るための競争も激しい。
1時間、2時間経過して段々体の芯から冷えてきて、カイロが最低3個は必要だと思ったが、後の祭り。
寝袋のなかは初心者にとっては決して暖かくないので手袋も必要でした。 上着は厚手の下着のうえにセーターや防寒衣を4枚着て、厚手のパッチ下着のうえにズボンを3枚着ても、だんだん体の芯から凍えてきた。
3時間我慢してギブアップ。 近くの「松屋」で豚汁を2杯飲んでやっと体が暖まった。 そして帰りの暖かい車のなかで3時間居眠りをして車を駐車場へもっていき、オートバイで帰宅。
今週にはこの教訓をもとに再挑戦して朝まで寝ます。 野宿者の本当の気持ちを知るには、彼らの生活を実感をもって体験しないと、支援の心がうわすべりとなることが今回でわかりました。
【眠られぬ 路上で思う 家の暖】
あんな寒さに耐えながら朝まで寝ている人々に私は敬意の念をいだきます。 仕事もせずに自由な時間を楽しんで気楽に生きているのが野宿者だと偏見をもって見る人は、あの寒さを経験すればいいのです。
誰が好き好んで、あの酷寒、そして夏の酷暑のなかで路上生活をしたいでしょうか。 仕事をするより、あの寒さに耐える方がいい、と彼らが思っているとは到底思えません。 あの寒さは地獄です。
皆、仕事がほしいのです。 何年も年老いてまで、あの寒さと飢えに耐えないといけない、そんな絶望感のなかで日々、人々は生き抜いている。 家がないので住所が書けない、過去の経歴がホームレス、保証人がいない、では就職面談ですぐに跳ね除けられます。
人手不足の会社もあるのに、3Kの仕事を嫌がって選んでいると、文句を言う人には「あなたの会社はそのような条件でもホームレスを雇うのか」と問いたい。
地方へ行けばいくらでも人手不足の仕事はある、と言う人がいます。 しかし遠くへ行っても採用される保証もない。 缶やダンボール集めをしても一日千円にもならない。 日々飯を食うだけの収入しかないその日暮らし。 ポケットには数十円しかない。 だから彼らにはその地方へ行く電車賃もない、断られたら帰る電車賃もない。
自分がその立場にならないとわからないのです。
もっとも官製の派遣村で「仕事をあっせんしたら『それは嫌だ』と言い、とにかく生活保護をもらえれば結構だという人」がいるとの報道。
あのような派遣村住民の態度は「失業者とはあの程度の人間失格者だ」と満天下に知らしめているようなもの。 真面目に仕事探しに奮闘している全国数百万人の失業者や野宿者に失礼だろう。
こんな奴がいるから私たち野宿者支援者さえ批判されるのです。 「怠け者の浮浪者など助けるな」と。
そんな奴は路上で野垂れ死にすればいい。 またそのような特殊な人物だけを取材して、野宿者への偏見を増長させているマスコミの罪は重い。
【酷寒に 寝てこそわかる 心なり】
mixiに私の路上寝袋体験の文章を書いたら、「野宿されている方の大変さが伝わってきました」「風邪をひかないように頑張って下さい」とか、心配されて「お体を大切に」とか「もうやめたら」とか言われました。 ありがたかったですが、
ギブアップして先日は離脱するくらいの判断はできます。
今週も無理はしません。 しかし不完全燃焼では気がすみません。 だが今週も「野宿の皆さん、恐れ入りました。
やはりだめでした」となるかもしれません。 あの寒さのなかで寝る人々はカルマ修行の身とも思います。 私も仏道修行に参りたく思います。
「通販で売っている災害用の薄手の防寒シートを下に敷いたらいいのではないでしょうか」とか言われましたが、ダンボールを下に引けば下からの寒気は防げます。
ただ中国製のダンボールにはシラミがいるので、それを除去しないとたいへんな目に会う。
また「夏は丁度良くても、今は冬山用の寝袋でなくては駄目でしょう」と言われました。たしかに冬山用の寝袋なら寒い思いもせずに済みます。 それでは薄い寝袋で寝ている人々の気持ちはわからない。 できるだけ彼らと同じ体勢で寝たいのです。
路上で生活している人にとって持ち運びが便利な最軽量の私たちは寝袋を渡しています。それに費用の点でも安いものをたくさん配りたい。寝袋とダンボール、毛布でなんとか酷寒の真冬は乗り越えられると思います。
また「ホームレスの皆さんに携帯カイロなどの配布はあるのですか?」との質問がありました。 カイロは夜回りのグループが配っています。
金曜夜回り、土曜、とか真冬の1〜2月に集中しています。
ほぼ毎日、釜ヶ崎のどこかのキリスト教会を拠点に行なわれています。 リヤカーに毛布や味噌汁鍋、カイロなどを乗せてまわっています。 しかしありがたいことですが、一晩だけ一個のカイロでの救済は気休めと思っています。
私たちの寝袋は素人が寝る場合には決して暖かくはないことが今回よくわかりました。
しかし野宿者にとっては無いよりは圧倒的に人助けにはなりますが、素人は完全防寒で路上へ向かわないと風邪を引きます。 永年野宿をしていると、体が寒さになれて寝袋だけでも真冬を過ごせるようになっている人もいますが。
しかし根本的に「暖かいものを渡している」という私の認識が間違っていました。 野宿者は寝袋を単なる補助として使ってくれているだけで
自分の身を守ることは自分でしている、とわかりました。
それほど寝袋だけに頼るのは間違っていた。 暖かい寝袋を渡してあげている、という高慢な気持ちがありました。
彼らの自己防衛力が自らの身を守っているのです。
(完)
【リンクのホームページ】
@ インターネットサイトのmixiに「大圓(だいえん)」として参加。
(知人の紹介がないと、ここへ参加し閲覧し、自分のブログ日記を作成することはできません。
参加無料。 参加ご希望の方はご連絡ください)
http://mixi.jp/list_diary.pl?from=navi
ここには「いのちの風」用の下書きの文章をたくさん書きためています。
↓
・ダイアナ妃のDNAを受け継いだウィリアム王子のホームレス支援
・帰化朝鮮人国会議員が多くてもいいではないか!?
・米国務省の公文書公開「真珠湾は奇襲ではなかった」
・【沖縄】児童を盾にプロ市民が反米運動
・失業者をダシに利用した派遣村
・マイミクの釜ヶ崎寝袋配布ツアー体験記 ?
・マイミクの釜ヶ崎寝袋配布ツアー体験記 ?
・天理の「おせち」を食べる会へ初参加
・【動画】田母神さんが「倫理法人会が日本を変える」と言っている
・2010年トルコにおける日本年
・あけましておめでとうございます(大祓いの儀式、蘇民将来子孫門、キリスト教)
・【動画】「金正日の父は日本人だった」の著者、佐藤守氏の講演
・・・・
A「いのちの風」通信「縁の花」支縁サイト
(毎月3回知人300人へ送信している、国を憂う志、野宿者支援、いのちについて書き綴っている通信。
政治的には愛国保守の内容です。最新の591まで更新されました)
http://www.geocities.jp/ennohana/en20isiguroyosihiko.htm
↓
・石黒大圓の自己紹介文
いのちの風591 妻子からの恩返し/どこかで誰かが 泣いている/背中に日の丸/寝袋カンパのお願い
いのちの風590 平成二十二年年賀状/産経新聞に寝袋配りの記事/西村眞悟先生の時事通信
平成21年 2010年
いのちの風589 野宿者支援への誤解/私の心の軌跡/義憤に燃えて/当たり前でない恵み/過酷な路上生活
いのちの風588 仙台から3人の神様/石黒講演/外国人参政権付与反対/世界は移民や参政権で大混乱
いのちの風587 寝袋配り/荒川勝巳さん講演/ 誕生日/外国人参政権/水戦争/日本熊森協会
【冬もの衣類カンパのお願い】
いのちの風586 いのちと出会う会/今年最初の野宿者への寝袋配り/国家意識なき赤いエリート
いのちの風585 不動明王/いのちと出会う会/日本の守護神、中川氏/外国人参政権反対デモ/地震予知
いのちの風584 寝袋カンパ/いのちと出会う会/鳩山不況/排出ガス25%削減/夫婦別姓法案
いのちの風583 デモのトラッキー大圓/講演「お盆と日本」/般若心経・治る 治る きっと治る
【冬もの衣類カンパのお願い】
いのちの風586 いのちと出会う会/今年最初の野宿者への寝袋配り/国家意識なき赤いエリート
いのちの風585 不動明王/いのちと出会う会/日本の守護神、中川氏/外国人参政権反対デモ/地震予知
いのちの風584 寝袋カンパ/いのちと出会う会/鳩山不況/排出ガス25%削減/夫婦別姓法案
B 知人の野瀬泰良さんの霊園会社のホームページに、私の体験談を載せていただいています。
美原ロイヤル・ニュース (平成16年冬季号VOL.8の3ページ目)
「【シリーズ】別離の哀しみを乗り越えて 人と人との魂の絆に気づいて 野宿者救済運動を始める」
釜が崎での炊き出しの写真とともに私の体験と考えが掲載されています。
http://www.noseh.com/home3/royalnews.htm
C 應典院HP「いのちと出会う会」(石黒司会の應典院での年9回開催の名物イベント行事)
應典院HP
http://www.outenin.com/about/index.html
應典院HPのなかの「いのちと出会う会」開催予定と趣旨、過去の開催記録(第1回〜)
http://www.outenin.com/otc/projects/inochi.html
應典院へのアクセス
http://www.outenin.com/about/accessmap.html
D 大阪メチャハピー祭 (毎年10月の体育の日・祝日に開催)
(立上げの時から参加して実行委員兼踊り子として関わった、鳴子を鳴らして踊るよさこいソーラン系踊り祭。 今年で10回目、大阪城ホールなどに7000名が参加する子供中心の踊り祭で子供たちに夢と希望を与えようという大阪の一大イベントに成長)
http://www.joy.hi-ho.ne.jp/mecha/
「2006年・大阪メチャハピー祭」のスライドショー
(「大阪の子供たちに夢と希望を!」「大阪の商売人がんばれ!」「大阪の文化は日本一や!」 この曲のメッセージを、これからも大阪じゅうにまき散らしていきます。 いつでも踊りの出前行きまっせ!)
http://f.flvmaker.com/mc.php?id=Y/xcPpX4__GKUTAF6Eq.PMqehLcwBpX8jEYGJBYuJLOSEhRXPKHlXbvu73Ci83qIZgVPT3bkbolbX1KdiDF7hzs
E せんば花金夜市
(よさこいソーラン踊りを私が踊っています。 虎のぬいぐるみも私です。
画面右の写真をクリックすると大きく写ります。
この着ぐるみを着て大阪駅前で野宿のオッチャンたちと掃除もしています)
http://www.home-smile.com/hanakin/index.html
トラッキーの掃除屋さん(別のところで宣伝マンをしている姿です)
http://itijikurin.blog65.fc2.com/blog-entry-281.html
F 寝屋川市倫理法人会の会員です。
大阪府倫理法人会
http://www.osaka-rinri.net/
万人幸福の栞
http://www.rinri-jpn.or.jp/profile/j-rinri.htm
「今週の倫理」
http://6080.co.jp/rinri/weekly.htm
● 小豆島の「養心の会」での私の講話と踊る姿
http://yaoyorozu.blog.ocn.ne.jp/susyu/2007/07/post_1209.html
● 知人の松江隆明さんのHPに載せていただいた
9月20日の阿倍野高校での私の講演会。
いつも通りにトラの着ぐるみの頭を着て登場して挨拶を始めている場面。
http://ameblo.jp/kazu-ono11/entry-10049664067.html#cbox
● 同じく松江さんのHPのなかのURL。
あいりん地区(釜が崎)で炊き出しのお手伝いをしました。
http://ameblo.jp/kazu-ono11/entry-10041525376.html#cbox
あいりん地区で炊きだし
http://ameblo.jp/kazu-ono11/entry-10041433704.html#cbox
おにぎりを作っています
http://ameblo.jp/kazu-ono11/entry-10041435938.html#cbox
カレーを配ります
http://ameblo.jp/kazu-ono11/entry-10041445687.html#cbox
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石黒大圓
(縁の花情報)