いのちの風 bU17
平成23年1月9日(日)発信
石黒大圓(だいえん)
【今回のテーマ】
平成23年年賀状/寝袋をもらいました/遺族からのメール/年末寝袋配り
寒中お見舞い申し上げます。
新年からもう9日も経ってしまいました。 元旦から年賀状の宛名書きに没頭していました。 毎年3百枚ほどの年賀状を宛名手書きで松の内が過ぎるまで書いていました。 しかし今年は「いのちと出会う会」100人の講師への年賀状も追加されました。 そのためパソコンで宛名作りをしてDM式に送る方式に変更しました。
しかしどちらにして膨大な数になるので「いのちの風」通信仲間からいただいた年賀状へ返事を出す余裕がありません。 そのために今年は以下の恒例の通信年賀状ですまさせていただきます。 ご了承ください。
【年賀】 あけましておめでとうございます。旧年中は色々お世話になりありがとうございました。昨年は国政においても個人的にも大きな転換となりました。長男、敏之は東京から大阪へ戻ってきて働き、一緒にも暮らすようになりました。墓参りも一緒に行けるようになり、これもご先祖様や亡き妻子のお導きと感謝しております。一昨年末に産経新聞で私の野宿者支援としての寝袋配りが記事となり配信していただきました。そして昨年末にも読売新聞に「冬の夜 野宿者に寝袋無料配布…大阪の石黒さん
活動十年」として、十年続けて約一万個となる野宿者への寝袋配りを記事にしていただき、問合せの電話が続いています。妻子の死を機縁として始めました「いのち」を救う活動が広く皆様に知っていただけるようになりました。また私が代表世話人を拝命しています「いのちと出会う会」もお陰さまで百回記念大会を迎えることができました。今年も人々の心と祖国日本に小さくとも一燈を灯す活動を続けて参ります。本年も皆様にとりより良き年でありますようお祈り申し上げます。
平成二十三年元旦 石黒大圓・敏之
五四一-〇〇五六大阪市中央区久太郎町三―四―十八 пZ六―六二五一―一四九六
【ありがたい 互いに涙 心触れ合う】
先日墓参り中に携帯電話が鳴りました。すでに新聞掲載の日以来「新聞を見ました、寝袋カンパや防寒衣料を送りたいのですが」との電話が30人くらいから来ていました。 今回もそうだと思いましたが、違った。
「記事の写真は天王寺駅前で寝袋を配っていたものですね。 私もあそこで寝ていて寝袋をもらったのですよ。 実は石黒さんと同じで私も7,8年前に妻を失ったのです。 九州で二人で散髪店と美容店をやっていました。 もう、やけくそになって酒に入りびたり、娘を親戚に預けて有り金もって大阪へ働きに来ました。
そして金が全部なくなったら死んでやると思っていました。 しかしいざとなると人間なかなか死ねません。 そして仕事もなく天王寺駅や釜ヶ崎などの路上で寝ていたのです。 その時に寝袋をもらったのです。 本当にありがたかった。
そして幸い今は病気もあって施設に住んでいます。しかしここももうじき出ないといけないのです。 それで故郷に電話しました。 娘の世話をしてくれていた女性は死んでいました。 娘に7年ぶりに電話したら「帰っておいで」と言ってくれました。 それでこの施設をもうじき出て故郷に帰ります。 新聞記事を見てなつかしくて電話しました。 また電話します。」
彼の境遇と娘さんのやさしさに胸が熱くなって墓参りの車の中で涙していました。 私も一つ間違ったら同じことになっていたかもしれません。 見ず知らずの人から暖かい寝袋をもらって涙していたでしょう。 今もこのことを書きながら胸が熱くなります。 涙もろい人間になりました。
毎晩、風呂に入っている時、風呂に入れず路上で寝ている人々を思い「ありがたい!」と感謝の思いが毎日わきだしてきます。 このことが一番、野宿者支援をしていてありがたいと思えることです。
こんなことがあるので、野宿者支援をやめられないのです。
冬の夜 野宿者に寝袋無料配布…大阪の石黒さん
活動10年(写真入り)
亡くした妻子に導かれて、無料配布9000個。
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20101225-OYO1T00469.htm
【僕は飛び立つ 幸せつかんで いとしい人よ】
特に遺族の方にこの話をすると感動してくれます。 同じ遺族として心の琴線にふれるからでしょう。
お互いに愛しい家族の死を共有しているので共感が深くなるのです。 その意味で遺族会の存在は貴重です。
初めて会っても同級生のように親しくなれる。 互いにもらい泣きしながら語らい共に立ち上がろうという気にさせていただける。 そして悲嘆で落ち込んで、両脇を人に支えられながら初めて来た方でも数ヶ月で立ち直られる方もいます。 もっとも私はおかげさまで元気すぎるくらいになって、居場所がなく今では欠席ばかりしますが。
先日ある女性からメールが来ました。 その方は大学生の息子さんを事故で急に亡くされ、半年後にはご主人を病で亡くされ、私と同じ境遇の方です。 そして私は気がつかなかったのですが、以前から時々「いのちと出会う会」に来ておられました。 以下は彼女からのメールの一部です。 ご本人の許可はいただいています。
「いのちと出会う会で頂いた資料の中に『やっと自由を手に入れたのに、君の涙で羽が濡れると僕は飛べない、どうかいい人を見つけて、幸せになってくれ』って言う詩が載っていましたよね、だからってすぐに気持ちが変わるものではありませんが、私はそうしてもいいんだ、って思って、息子と結婚の約束をしていた同じ大学の彼女にも、この詩のコピーを渡して『おばちゃんも、これでいくわよ』って二人で泣きました。」
愛しい人を亡くして悲嘆の中にある人に、これからも「いのちと出会う会」が少しでもお役に立てたら幸いです。 以下は「やっと自由を・・・」の全文です。
この詩を妻が書いた掛け軸が我が家に残っています。
『翼がぬれると僕は飛べない』
ある朝 目覚めた僕の背中に
白い翼が生えていた
かるく羽ばたくと もう 僕は雲の上
いとしい人よ どうぞ泣かないで
僕は 今やっと 長い間のあこがれを
かなえることができたのだから
雲の上に 悲しみはない 苦しみもない
涙もいらない ただ 永遠の自由が
つづいているだけ‥‥‥‥
いとしい人よ 時がたてば いつか君も
僕のことを忘れるだろう
見つけておくれ すてきな人を
君がしあわせつかんだら
僕はお祝いに虹の橋を空にかけよう
お願いだ どうぞ泣かないで
君の涙で 僕の翼をぬらさないで
翼がぬれると 僕は飛べない
【寝袋を 渡し受け取る 凍えるなかで】
寝袋配りを一緒にしている相棒Uさんが、よりによって12月31日(金)にどうしてもやりたいと言うので昨年最後の寝袋配りに行ってきました。
この異常な寒さに震えている人々に出会いたいという願いもあるのですが、一方31日はいくらなんでもないだろうとも思っていました。
一昨年は29日にやったので問題はなかったですが。 しかし行ってよかった。
日本橋電器商店街の路上で韓国教会が金曜日恒例の「巨大おにぎりと味噌汁の配布炊き出し」を31日にするので行ったのです。 彼が前もって牧師に行くと約束していたらしいので。 しかし集まっていたのは4人だけ。いつもは少なくても20〜30人は集まるのです。
来なかった人々は行政が毎年3億円を拠出し行なう3食付の南港の臨時無料宿泊所へバスで運ばれて行ったのでしょう。 または、釜が崎では年末年始には、越冬闘争祭として釜ヶ崎支援者が「野垂れ死には許さないぞ、越冬斗争」と左翼全共闘ばりの看板を立てる。
釜ヶ崎・三角公園で余興や歌などのイベントが目白押し。 5日ほどは2か、3食は食べられます。 酒、タバコ禁止で、自由がない臨時宿泊所を嫌がって市内に留まり、釜ヶ崎周辺で寝ているか、だったのでしょう。
その後まわった他の地域では寝ている人が極端に少ないか、すでに寝袋で寝ている人ばかりでまったく配布できませんでした。
今日は10個も配れないのか、と悲観していました。 しかしさすがに釜ヶ崎だけは予想以上にたくさんの人々に配れました。
西成の公共職業安定所である「あいりんセンター」の1階には、5階〜7階にある大阪社会医療センター病院入口があります。 そこには「釜ヶ崎解放」の旗を立てて支援者たちが石油ストーブで深夜の暖を取っていた。
脇には白い布団が30個ほど、ずらーと並び野宿者たちが寝ていた。「寝袋いりませんか」と声をかけると「要る、要る」と声がかかって20個以上配りました。
寝袋が足りなくなって家に戻ったら、商店街で今まさに路上で寝ようとしている二人がいました。 身なりは普通だが仕事を失った30,40歳代。 最近は仕事を失った若年労働者が増えています。 二人に寝袋を渡して再び釜ヶ崎へ。
しかしそれからはほとんど配布することもなく、0時前に解散、帰宅しました。 外気は冷蔵庫に入っているような寒さ。
特に車を取りに、また家へ戻ってくる行き来のオートバイに乗っている時は、手先と体が芯から凍えました。
★ なお「いのちの風」を最近になってから配信させていただき始めた方もおられて恐縮ですが、通信の配信費用を毎年お願いしています。 メール送信の方は年間千円、FAX送信の方は年間二千円です。
今年は寝袋カンパが極端に少ないので、全額を寝袋カンパの方へ寄付させていただきます。ご了承くださいませ。
★ 前にお知らせしました、寝袋カンパ振込先に間違いがありました。
『大阪駅前炊き出しと掃除の会』(共通)
★三井住友銀行 船場支店(間違いでした)普通預金 7668540
御堂筋支店(正しい)
郵便振替口座 00900―7―91995
ゆうちょ銀行 14110 14967841
よろしくご支援お願いいたします。
(完)
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