いのちの風 bU27―その1
平成23年5月6日(金)発信 石黒大圓(だいえん)
【今回のテーマ】
こころの時代/脱原発転向/六ヶ所再処理工場/原発コスト/安全神話/放射能天動説
いつもありがとうございます。 「いのちと出会う会」がNHK「こころの時代」に出ます。
3月13日に放送予定でしたが、震災の影響で放送延期になっていました、秋田光彦さんの「こころの時代」の放送予定日が以下のように決まりました。
5月8日・日 朝5時〜6時 NHK教育テレビ
5月14日・土 13時〜14時 NHK教育テレビ
あくまでも予定ですので、何も起こらなければ、この日程で放送されます。
【国防は 脱原発に 向かうはず】
日本文化チャンネル桜代表の水島総氏が言われています。
「原発推進論や原発肯定論を展開してきたはずが、今度の原発事故で「動揺して」(水島氏は「オタオタして」と書いた)、反原発、脱原発論に「転向」した(保守系の)人々に、私が違和感と不快感を抱く」と。
確かに私も転向しました。 左翼が反原発なのでその反対の推進が真理だ、と原発についてよく調べもせずにそう思っていたのです。 同じように過去において多くの左翼だった人々が保守系に転向したのも同じ理由だったのはないでしょうか。 ソ連崩壊、拉致発覚以降いかに多くの左翼が愛国保守に転向して来られたことか。
多くの人々が共産主義に憧れをいだいて共産主義の残虐な歴史に目をふさいできた。 こんなはずではなかったと共産主義の幻想から目覚めて「オタオタ」と転向してきた人々。 60年代、70年代の安保世代で政治に目覚めた若者はほとんどが左翼でした。 かっては「左翼にあらずんば人間にあらず」という風潮でした。
アメリカという異文化の洗礼を受けて、私は70年代始めに左翼から愛国保守へ転向しました。 一般世間に出ていない政治情報を学んで、今の状況はおかしいと思っていました。 多くの政治に目覚めた若い人々は過去の歴史の真実を学ぶことなく、世の中の左翼迎合の風潮に同化していただけです。
「オタオタ」というよりも原発の安全性ばかりを信頼して危険性を学んでいなかった。共産主義を信頼して、その悪魔性を学んでいなかったのと同じです。私は原発に目覚めました。 未だに共産主義に対して憧れをいだきつつ反原発・反核運動をしている左翼がいますが、今回の原発事故を見て転向しない保守は左翼と同じです。
原発がいかに国内的な国防にとって敵であることか。 調べればすぐにわかることです。
内外から来る非常事態に国民の生命、財産を守るのが主権国家です。 国内の災害にも対処しても国家や国民の安全は保障されるべきではないでしょうか。 原発は明らかに国家の安全を損なう危険性を秘めているのです。
【廃棄物 コスト計算 原発高し】
福島原発にある使用済み及び使用中の核燃料の総量はチェルノブイリの10倍、1760トンもあります。
青森県下北半島の太平洋に面した六ヶ所村の六ヶ所再処理工場へは日本全国の原子力発電所で燃やされた使用済み核燃料が集められます。
そこでは核燃料リサイクルを目的として使用済み核燃料から濃縮ウランやプルトニウムなどを取り出す処理を行なっている。 最大処理能力は800トン/年、使用済燃料貯蔵容量は3000トン。 2010年の本格稼動を予定していたが、相次ぐトラブルのため延期につぐ延期で稼動する予定がつかない。
完成までの延期はこれまでに18回にも及ぶ。 そのために当初の建設費用7600億円だったものが、2011年2兆1930億円と約3倍にも膨らんでいる。 処理費用は原発コストに含まれているが、現在の予想以上に増加したコストは含まれていないはず。
また原発は夜間など電気使用が少ないからといって発電を止めることができない仕組みになっている。 そのような出力調整が出来ないため、需要の少ない深夜電力を使って水力発電所で水をポンプで上げて貯水し、昼間に発電する「揚水発電」をしている。
公表されている計算では1キロワット時当たり、火力9・80円、原子力8・64円、水力7・08円。 しかし原発のコストは「原子力+揚水」で見なければいけない。 水力発電のうち、揚水は51・87円、一般水力は3・88円であり、「原子力+揚水」では10・13円となる。
そのほかにも国家財政からの資金投入はほとんど原子力へ向けられ、この税金は原発コストに含まれない。 このコストを含めると「原子力+揚水」は12・23円に跳ね上がる。
災害賠償保険や膨大な廃棄物処理費などすべてを含めたら30円という計算もある。 原発は安価ではないどころか最も割高であることが明らかです。
日本では2010年には年間1300トン(累積28,000トン)もの使用済み燃料棒がでるという。 しかし六ヶ所村再処理工場が稼動しないために再処理はフランスに頼んでいる。 そしてフランスで再処理されたものが再び日本に戻ってくる。
六ヶ所村の再処理工場が完成しても、すでに全国の原発で累積された使用済み核燃料のすべては再処理できないのです。
六ヶ所村には、3000トンもの使用済み核燃料冷却プールがあり、全国の原発から使用済み核燃料がここへ移送されるが、相次ぐトラブルのため処理が進まずここがすでに満杯となっています。
そのために「トイレなきマンション」状態になって、仕方なく使用済み核燃料の仮置き場として、各地の原発建屋内に保管しているのです。
それはあくまでも一時的なものと考えられて、とても簡易な施設に保管され、福島のように使用済み核燃料が燃え出す可能性が高いのです。 今回、原発が緊急停止しても冷却が止まってしまったら大災害になることがわかりました。
全国各地で密集している原発の一つでも高濃度の放射能で汚染されたら、冷却のために他の隣接する原発にも近寄ることもできず、すべての原発炉心や周辺の使用済み核燃料が融解して大災害を引き起こします。
そしてこの六ヶ所村を地震と大津波が襲ったら膨大な使用済み核燃料が融解して、ここで大災害が起こる。 ここで大事故が起こったら日本どころか地球が終わりだ、とも言われています。 そのようなより巨大な危機は明日にでも再来するかわからないのです。
(その2へつづく)