いのちの風 bU67―その1   
大圓(だいえん) 

 
 
【今回のテーマ】  
ビッグイシュー続編/ホームレスになる理由/派遣労働/希望・自立を生み出す 
 
 
 
いつもありがとうございます。 今年は夕立が多く降るたびに涼しくなります。 もう秋でしょうね。 夜に虫の声を聞きました。 セミから秋の虫へ主役が交代です。  
 
虫たちの声に季節や情を感じる感性は日本人独特のものらしいです。 それが詩歌やものの哀れを感じる心情となって日本人を心豊かな民族にしているのでしょうね。 涼しい季節の到来を待っています。 
 
  
「いのちの風 bU63」に「ビッグイシュー」のことを書きましたが、今回はその続編です。 寝屋川市倫理法人会で7月4日に講話していただいたビッグイシュー販売担当社員、服部広隆さんのお話の残りです。  
 
前回は講話の後半を主に取り上げましが、今回は前半部分です。 講話をメモしたものや当日見せていただいたDVDの内容、そして配布していただいて資料などからまとめました。 
 
ビッグイシュー日本版|BIGISSUE JAPAN 
http://www.bigissue.jp/  
 
 
関西防衛を支える会の会報「国の支え」の会報担当者の方から「ビッグイシューやホームレスのことが先日の貴方の通信でよくわかった。 次回の会報に載せるから残りを書いてほしい」と依頼されていました。  
 
保守系のなかでは「支援者は左翼だ」「彼らは怠け者だ」としてホームレス支援に否定的な方が多いなかで、この方のように理解をしてくださって有り難かったです。  
 
 
 
【まさかの人生 一気に転落 誰にでも】 
 
 
『ホームレスになる理由は、1995年くらいから認識されてきたが、バブル崩壊、産業構造の変化などが大きな原因のひとつ。 路上生活する人は50〜60歳代が多い。 昔から日雇い建設動労者は、江戸っ子のように宵越しの金は持たない、と言う人が多かった。  
 
彼らは土木現場を渡り歩いて定まった住所がない。 そしてバブル崩壊で仕事が減って貯金を使い果たして住む家を失った。  
 
日雇い労働者は、土木現場やオートメーションライン作業製造現場で働くことが多い。 ここでは話すことも少なくコミュニケーションがあまり要らない。 そのために話ベタとなってコミュニケーションが苦手となる。 昔はそんなことは就活には問題なかったが、今の時代には問題となって仕事が減少した。  
 
 
2010年代から20〜40歳代の若年ホームレスが増えてきた。 外国では今も30歳代が中心。 2000年の小泉内閣時代に「労働者派遣事業法」が制定されて製造業日雇い派遣が解禁となった。 この法により機械的に労働者の首切りが簡単になり、まともに暮らせなくなった若者が急増した。  
 
派遣業者が賃金のピンはねをして労働者の収入が減り、40%もの労働者が非正規労働となり若者は特に家族さえ作れなくなった。 中間所得層が減り困窮する人々が増え、社会的不安が増大した。  
 
 
小泉改革の大罪、労働者派遣法を改正によりホームレス増大 
http://jiyugaichiban.blog61.fc2.com/blog-entry-143.html 
 
 
携帯に連絡が入り、電話のある家がなくても仕事へ向かえることになった。 そのために住居を死守することもいらなくなり、月極め賃貸アパートでも良いということになった。 しかし賃料が払えなくなって、1ヶ月滞納とでもなったら、アパートから追い出されることになる。  
 
そしてネットカフェやマクドに泊まるようになり、その金もなくなったら野宿となる。 統計上の野宿者はずっと野宿だった老齢元日雇い肉体労働者が主流だが、このような若者はホームレスとして統計に載ってこない。   
  
(大圓注: 今年の行政による統計調査では大阪・東京ともにホームレス数は2400人ほどと以前より半減したが、深夜に調査すれば路上で寝ている人は実際には2倍はいると思う) 
 
 
図録ホームレス人数 
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2970.html  
ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について - 厚生労働省 
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000027ptf.html  
 
 
今はその若者ホームレスの実数がわからず、時々路上で寝るという若者が多い。 そのために自分がホームレスであるという認識が少ない。 しかし携帯をもつ金もなくなったら仕事も失なう。 定職がないために個人としてのアイデンティティも失ないつつある。 
 
 
若者ホームレス支援|ビッグイシュー基金 
http://www.bigissue.or.jp/program/index.html  
 
 
落ちる時には一気に落ち、前に立ちふさがった壁を乗り越えられなくて、なかなか元へ戻れない。 住んでいる住所がないので言えないため、ハローワークに登録できなくて就活ができない。 昔は生活保護は住居のない人には出してもらえなかった。 しかし民主党政権になって、ここ2年ほど前から65歳以下でも生活保護はとりやすくなった。  
 
家がない、空き缶集めなどの極貧の仕事、釜ヶ崎へ行っても手配師に労賃をピンはねされる。 貯金が貯まらないから自立ができない。 家ない→仕事ない→金貯まらない、の悪循環の繰り返しにおちいってしまう。  
 
 
ビッグイシュー基金 
http://www.bigissue.or.jp/about/index.html  
ビッグイシュー基金では、ホームレス状態にある一人ひとりが再び人生を取り戻し、社会 の一員として生きてゆけるようサポートします. 
 
 
 
【一冊が 人を救い 救われる】  
 
 
講話の途中で、読売テレビ放映のビッグイシュー特集、動画DVDを見せてもらいました。 題して「ホームレスだけが販売する雑誌?」  
 
(引用始め) 
 ビッグイシューは基本的には販売場所は路上のみで一般書店では売られていない。 最初に10冊、3000円分を無料でもらい、売れた資金で次の号を仕入れて販売するという経営者としての資質もつちかわれる。 
 
ビッグイシュー日本代表の佐野章二さんは言う「ビッグイシューはホームレスの人々に雑誌を販売する仕事を提供して、自立を支援するために作られたもの。 全国で約1200人が販売員として登録している。 大阪でも資金を貯めて60〜70人がアパートに入って次の就活というステップに移っている」  
 
 
ホームレス販売の雑誌「ビッグイシュー」、創刊3年で販売員が6倍に。 
http://www.narinari.com/Nd/2006086406.html  
 
 
(その2へつづく)