いのちの風 bU67―その2
石黒大圓(だいえん)
【今回のテーマ】
ビッグイシュー続編/希望・自立を生み出す
(その1からのつづき)
不況からリストラされ路上生活をするようになった大阪駅前に立つ販売員、美馬さんは、「路上生活を始めた時には金もなく家もなく情けない気持ちになった。 炊き出し現場で、明日から仕事があります、と誘われて販売員になった。 平均で20冊を販売、月約9万円の収入。 路上で生活してゴミをあさっていたので本当に助かっている」
どん底の生活からホームレスを救ったビッグイシュー。 毎号の発売を楽しみにしている人もいる。 「販売員は控えめな人が多いが、こちらから話せば明るく返してくれる。 だから親近感がもてる」「買いに行った時に笑顔で迎えてくれるので、買いに行ってよかったといつも思う」
タクシー運転手が「ちょっと待ってください」と客を車に残して買いに行った。 「実は自分も路上生活になりかけたので、人ごととは思えないので」 そんな客もいる。
そんなお客様のために日が落ちても黙々と販売を続ける販売員たち。 しかし暑い日、寒い日はたいへん。 朝から12時間、休憩をはさまず立ちつづけで働き続けることもある。 美馬さん「しかし嫌な思い出はたくさんある。 通行人からツバを吐きかけられたり、自転車にぶつけられたりした。 そんな時にはもう早くやめて帰りたいと思ったこともある。
うれしかったことは売れてない時に常連さんが笑顔でこちらへ向かってきた時には、救いの神かエンジェルかという気持ちになって、明日も頑張ろうという気持ちになって励みになります」
ビッグイシューは基本的には路上で売っているが、西梅田の地下街にはビッグイシューの専門店がある。 ここは販売員が共同で経営している店で最新号からバックナンバーも置いている。 ここでの経験を活かして就職活動をしたいという販売員たち』(引用終わり)
ビッグイシューは社会的企業としてホームレスの人の救済(チャリティ)ではなく、仕事(ビジネス)として設立された。 そののち40ヶ国へ拡大した「ストリートペーパー」であり、理念はセルフヘルプ。
「ホームレスでも今すぐできる誇りを持てる仕事を」と呼びかけた。 ビジネスパートナーとして彼ら自身を助けるためにホームレスを助けるが目的である。 支援ではなく企業と販売員の持ちつ持たれつの関係となっている。
雑誌購入者の動機は「共感したい、応援したい」、客のその気持ちがあったればこそ販売員の心は支えられている。 ホープレス(希望がない)となってホームレスとなる人々。 そのホームレスの人に希望(ホープ)をつくるのがこの事業である。
ロンドンの販売員は600人、イギリス全体では千人ほどで、週に15〜20万冊の販売。 関西の販売員は150人ほどで大阪だけでは50人、大阪では各号あたり1万冊の販売。 全国で今までの合計で516万冊を販売してホームレスに7億円以上の収入をもたらした。
そしてこのことにより約150人が自立をした。 個々のがんばりがあったからこその自立である。 (有)ビッグイシュー日本から生まれたNPO法人ビッグイシュー基金は今年、認定NPO法人として認定されました。今後も路上の人々に生きる楽しみを提供し続けます。
楽しみを提供して、やる気を出してもらうのが使命です。 ホームレス・サッカーを企画して「ホームレス・ワールドカップ」に日本代表「野武士ジャパン」として出場しています。 昨年の第9回パリ大会には64ヶ国から出場者が集い、世界のストリートチルドレンも参加しました。
また全国の支援者によるホームレスバンド演奏企画に「大阪ホームレス・ビッグバンド」として参加もしています。 ホームレスは怠け者ではない。 たしかに問題は少しはある。 しかし企業の戦力には十分なりうるのです』
【リンクのホームページ】
●「いのちの風」石黒通信「縁の花」支縁サイト
最新のbU65まで更新されました)
http://www.geocities.jp/ennohana/en20isiguroyosihiko.htm
いのちの風665 原爆の日は左翼の祭典/もう一つの平和宣言/兵隊さん仇をとってくれ
いのちの風664 浴衣で日の丸行進の報告/大停電が起こったら・・・/反原発は他国の侵略を招く
いのちの風663 ビッグイシュー販売員/気合、やる気がすべて/人生をあきらめない
いのちの風662 7月「日の丸行進」/7月「いのちと出会う会」/夏もの衣類カンパのお願い
いのちの風661 第十一回日の丸行進の報告/大塩平八郎の乱/映画「三島自決」
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