流通システムが崩壊する

情報交流研究クラブのこと

私は経営コンサルタントとして特に異業種交流を研究しました。

ずいぶん昔の話ですが、昭和601985年)に情報交流研究クラブを創設し、メンバー60名ほどで毎月例会を開いて勉強していました。メンバーのほとんどは中小零細企業の経営者で業種も様々です。

 

保険代理店、美容業、薬品問屋、商事会社、商業写真業、事務機販売業、メガネ小売業、自動車販売業、家電製品卸業、お茶小売業、宝飾販売業、公認会計し、大学教授、県庁職員、経営コンサルタント、不動産業、建設業、建築設計業、電気工事業、防水メンテナンス業、運送業、和菓子メーカー、洋菓子メーカー、陶磁器メーカー、浄水器メーカー、アスレチック経営など多士済々です。

遠くは広島県、鹿児島県、長崎県からの参加もありました。

 

業界情報、新製品情報、業界の問題点、人事問題、金融問題、税務問題、その他マル秘情報など例会での話題は事欠きませんでした。

 

情報研究クラブの成果として、異業種間の業務提携として、「転送電話による航空券宅配サービス」、「日本で初めての和菓子珈琲開発」、フィルム自動水洗現像機水洗水再利用装置」など、新しい販売システムや新製品開発などもやりました。

 

中でも「和菓子珈琲」はわが国初ということや和洋のミスマッチが受けてテレビで紹介されたり、菓子の業界紙に記事として取り上げられたりして話題となりました。もともと珈琲は洋菓子との取り合わせですが、和菓子と珈琲という発想はありませんし、そのうえ和菓子に珈琲はうまく味がなじまなかったのです。それを珈琲がすべての和菓子になじむように特別のブレンドを美松珈琲貿易鰍ノ開発してもらい和菓子珈琲が出来上がったというわけです。博多の吉野堂ひよこ本舗が発売元となって販売されました。

 

和菓子珈琲の開発エピソードについてちょっとお話しします。

昭和62823日、日曜日の夜、NHKテレビ「ニュースの視点」(テーマは垣根を超える中小企業)で情報交流研究クラブが主宰している異業種交流の実例が紹介されました。

 

内容は和菓子メーカーの葛g野堂ひよこ本舗と、美松珈琲貿易鰍フ2社が異業種交流で提携した結果「和菓子珈琲」という世界初の新製品が生まれた。というものです。

 

たまたま、通産省(当時)の中小企業庁では中小企業を育成するため、異業種交流によって異業種間の提携を進める支援策として「中小企業融合化法」という法律を策定していました。

 

当時としては、全国的にまだ異業種交流団体が少なく、成功例も非常に少なかった時でもあったのです。したがって、通産省(現在 経済産業省)としては全国の異業種交流で成果をあげた例を一つでも多く集めたいと考えていた時でした。

 

NHKの「ニュースの視点」で放映を見た通産省中小企業庁の異業種担当の飯倉課長から「異業種交流に協力してほしい。異業種交流研究クラブの運営や和菓子珈琲の開発秘話を聞いて参考にしたいので訪問したい」との電話がありました。

 

数日後、本省の飯倉課長と福岡通産省(現在 九州経産省)の中小企業担当の課長や係長を伴って私の事務所に見え、数時間にわたって異業種交流について意見交換をしました。

 

その時の印象ですが、通産省は「良い商品を生産する」ということに重点を置いていたようでした。それはそれとして結構なことですが、私は「どんなに良い商品を創っても流通システムを持たないと売れない」と考えていましたし、アルビン・トフラー博士の「第三の波」を読んで情報社会に関心を持っていたので、多少、通産省のお考えと考えを異にするところもありました。

 

しかし、NHKテレビを見て、わざわざ遠路東京から本省の担当課長が私を訪ねて見えたのですから、協力させていただくことを約束しました。そのようなことから異業種交流が必然的に専門になった次第です。

 

このことがあったおかげで生産や流通について勉強する機会が増えました。

その結果、全国流通ネットとの出会いが始まるわけです。

これが「縁とチャンス」です。(つづく)