コンピューターは武器である
コンピューターの生みの親であるといわれるフォン・ノイマン博士(数学者1930年ブタペスト生れ)は1933年に渡米、マンハッタン計画の原子力委員となり、ノイマン理論によるコンピューターを開発し、原子爆弾の製造に携わりました。
したがって、コンピューターは単なる計算機ではなく、武器として開発目的をもっていたとみるべきでしょう。
現代戦争に使用される航空機、艦船、レーダー、ミサイルなどはコンピューター無しにはほとんど役をなさないといっても過言ではありません。
このようにコンピューターを武器と定義するなら、企業がこれをビジネス競争に戦略的に使用するとすれば、その目的が競争相手企業を叩き潰すために用いると考えても決して不思議ではありません。
メルマガでアメリカン航空のSIS(戦略情報システム)を詳しく紹介したことがあるので読者のみなさんはご理解いただけると思います。
ただし、日本人はもともと農耕民族であり、協調・協力・親切・和を基本とした社会生活や企業活動を追求するDNAを有し、極めて平和を好む国民ですから、同じコンピューターを使用するに当たっても、競争相手と戦うためにこれを武器として使おうという意思はなく、ひたすら事務合理化や、省力化、効率アップ、サービス向上、品質管理などの目的に使用することを当然だと考えてしまうのです。
このような日本人の国民性が、世界的にも第一級の優れた商品を創り出し、顧客に対しても、きめ細かいサービスを提供することができるのです。
このような資質が日本を経済大国に発展させた原動力になったものと考えられます。
SISはコンピューターの持つ特性を、企業が戦略的にシステム化して用いた結果、競争相手企業が為す術もなく、ことごとく窮地に追い込められ、敗退したということです。
SISの特徴は、コンピューター・通信回線(インターネット)・端末機による顧客のインクルーズ(囲い込み)とバイアス(偏り)です。
SISが成功すれば業界の覇者となれますが、もし失敗すれば企業は潰れてしまうという“両刃の剣”的要素をもっています。
したがって、SIS構想には少なくとも4〜5年の構想期間を要し、CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー=情報担当役員)が、社運を賭けて取り組まなければならない極めてスリリングなものです。
1982年、アメリカン・エアラインの成功を見て多数の企業がSISにチャレンジしましたが、2〜3年と短い構想期間でスタートした企業が成功したという例はありません。
近年、インターネットに関わる周辺機器の変化発展は著しく、2011年7月24日にはデジタル社会が到来する。
これを契機に“時代は明治維新に勝るとも劣らない時代変化”を迎えることになる。産業革命(明治維新)によって構築された工業社会の常識は急速に通用しなくなるだろう。