日米構造協議の本質
対米配慮はここまでしなければならないのか?
先ずポストハーベスト(収穫後の薬品処理)についてです。
日米構造協議で貿易障壁の壁が低くなりました。
ウルグァイ・ラウンドでコメの輸入を認めました。
1993年の凶作で外国産米を大量に輸入しました。
食料自給率は30%を切っております。
今後ますます農産物の輸入が増えるものと思われます。
それに伴って心配なのは害虫予防や、カビ・腐敗防止のために収穫後に行う薬品処理です。
1975年4月、アメリカのカリフォルニアから輸入したサンキスト・レモンに農林省(当時)が禁止している薬品、OPP(オルト・フェニール・フェノール=防かび剤)と、TBZ(チア・ベンダゾール=防かび剤)が検出されたため海洋投棄を命ぜられた事件がありました。
OPPは果肉の内部まで浸透します。TBZはワックス系ですから艶出しに用います。
ちなみにいずれもアメリカ国内出荷分にこれが検出されると体罰を科せられるという薬品です。アメリカで禁止されているものがなぜ日本には許可されるのでしょうか?
OPPは、かっては農薬で禁止していたのですが、1977年に食品添加物で厚生省(当時)が許可しています。
ポストハーベストでは第一人者の京都同志社大学西岡一教授が遺伝性毒性があると発表していますし、東京都立衛生研究所では催奇性があると警告しています。
その結果、東京都内の百貨店やスーパーからはアメリカ産のオレンジやレモンは店頭から消えました。地方では同系列のスーパーや百貨店でも店頭に並んでいたようですが、なぜ、東京では販売しないのに地方では販売するのでしょうか? これは企業の倫理観の問題です。
お隣の韓国では、市民が農薬で汚染した農産物の輸出に対して抗議のため、アメリカ大使館に石や火炎瓶を投げ込んだと聞いています。日本人はこのようなことでは何の抗議もしませんでした。
また、アメリカ産の木材を日本に輸出するため建築法と消防法を改正しました。日本は土地が非常に高価ですから、せっかく木造の家を建てるのであれば、少しは価格が高くても国産の木材を使用します。
したがって、アメリカ産木材は安い建て売りか、貸家か、アパートでなければあまり好んで使用しません。
最もアメリカ産の木材を多く使うのは学生用のアパートです。
そこで建築法と消防法を改正して木造の3階建てアパートの建築を認めました。
また、防火癖も不燃塗料を塗れば良いということにしました。
重たい鉄の防火壁では木材が持たないからです。鉄が燃えたという話は聞いたことがありませんが、木材が燃えなかったという話も聞いたことがありません。
学生のことですから家賃の安いアパートに住みます。当然、暖房は各部屋ごとにストーブを持ち込みます。最も火災の危険が高い木造のアパートに3階建築を許可し、不燃塗料を塗れば木製の防火壁でも良いと法律まで改正して許可したのは一体だれのためでしょうか?
また、こんなこともありました。
“飛鳥”という飛行機をご存知でしょうか?
YS11の後継機として川崎重工が開発した純国産のジェット式航空機です。
時期は第二次オイルショックのころ、昭和50年の初めころです。
この航空機の特徴は、@離着陸の距離が短い、A騒音が少ない、B省エネ型、C安全性が高い、という素晴らしい性能を有しています。難点を上げるとすればスタイルがスマートでないというくらいのものです。
離着陸の距離が短いということは滑走路が短くても良いということですし、騒音が少ないということは、大阪伊丹空港のような夜間飛行制限を免れますし、省エネは、燃料節約で経済的だし、エコになるし、何より安全性が抜群に高いということは人命にかかわるだけに“飛鳥”は素晴らしい性能を持った航空機ということができます。
にもかかわらず、僅か1機だけしか製造せず、しかも、なぜ試験飛行だけで現役就航はせず、航空博物館行きになったのでしょうか?
勘ぐるわけではありませんが、日本は鉄鋼、造船、家電、通信、情報機器、機械、自動車と次々にアメリカ産業を食ってしまいました。
現在、アメリカが世界を制している産業といえば、宇宙産業、武器産業、航空機産業くらいのものでしょう。
その航空機産業まで脅かすような航空機を造るということはアメリカにとって耐えがたいことではなかったかと思うのです。
当然、対米配慮がなされたものと勘ぐらざるを得ません。
こんな事実もマスコミは国民に詳しく知らせようとしません。
馬鹿な国民に下手に知らせることによってナショナリズムが起こることを恐れているのでしょう。(つづく)