第30回「天下への道」 7月29日放送

 いよいよ、上杉謙信が、大河ドラマ、風林火山で、全面的に登場しました。信玄のライバルとして、立ちふさがることになるのです。

 また、信玄自身も、天下取りを、山本勘助に言われて、宣言します。「勘助わしには、もう迷いはない。天下を取り、都に孫子の旗を立て、仏法、王法を守り、天下の規範となる政を行いたい。それがわしの目指す道だ」信玄は、本気でそう思っていたと思います。

 しかし、信玄がいつの頃から、天下取りを目指したのかは、まだはっきりとは分かっていません。一説によれば、信長の上洛を見たときからだといわれていますし、足利義満から、信長を倒して、上洛するように、うながされた時だという説もありますが、菊自身としては、もっと早い時期だと思いたいです。それによって、信玄の天下取りの器量が決まります。

 武将の子として生まれたのですから、信虎を追放して、家督を継いだ時から思っていて、ドラマと同じように、塩尻峠の戦いで勝利して、信濃を獲得する目処がついて、自信を深めた時には、目指していたと思いたいのです。

 そしてそんな信玄の天下取りの最大の障害になったのが、上杉謙信の存在でした。天下取りの道は、上杉謙信によって、塞がれたのです。何故なら、歴史にもしはありませが、もし、上杉謙信という存在が、越後にいなかったら、信玄は、間違いなく天下を取れたと思います。

 というのも家督を継いだ天文十一年(1542年)から天文二十二年に(1553年)、村上義清を、北信から追放して、11年の年月をかけて、信濃の大半を領地にした信玄ですが、その後、越後に上杉謙信がいなかったら、二、三年、どんなに遅くても、四年から五年で領地化できたと思います。

 その当時の越後は、上杉謙信がいなかったら、まだ統一できていないはずですし、謙信の兄、長岡晴景は、病弱で、国内をまとめるとはできません。長岡晴景ではなく新たな国主が、登場していたとしても、甲斐、信濃で、およそ60万石を領地として持っている武田に対して、越後は、40万石で不利です。今川家、北条家との背後を固めていた信玄は、余裕を持って、越後と戦えたと思うのです。

 そして越後を、領地としたら、100万石の大名です。しかも、甲斐、信濃、越後という日本でも有数の強兵を動かすことができます。その後、北陸から、越中、能登、加賀と進む事もできますし、得策ではありませんが、駿河の今川と対決することもできます。

 また、そんな事をしている内に、永禄三年、(1560年)に今川義元が、桶狭間の戦いで、敗れたら、すぐに行動を起すこともできました。信濃を統一してから7年の年月があったら、信玄なら、越後だけでなく、越中も治めていた可能性がありますし、信濃の木曽を降伏させて、美濃に進行して、東美濃を治めていたと思います。

 その時に、今川義元の敵と言うことで、兵を尾張に向けたら、やっと、尾張を統一できたばかりの織田家では、信玄に勝てるはずはないです。領地で言えば、150万石、3倍の差があったら、織田信長が、歴史に登場することはなかったと思うのです。

 でも天は、そうさせませんでした。上杉謙信を、越後に誕生させました。もし、信玄や、山本勘助が、上杉謙信の力量を、早くに掴んでいて、北信の村上義清と妥協して、少し領土を残したまま、越後の侵略を諦めて、目を西、木曽を降伏させて、西を目指している今川義元と対立しても、美濃に向けていたら、面白かったと思いますが、そうはなりませんでした。

 信玄は、統一したはずの信濃で、川中島の第4回の戦いまでで、9年の年月をかけ、その後の西上野の戦いを含めると、14年の年月、上杉謙信に対して、注いでいます。その時には、もう気がついたら、信玄は、四十六歳になっていたのです。あまりにも、長い年月を、上杉謙信の為に、費やしてしまったのです。

 菊は、それが、残念です。上杉謙信がいなかったら、信玄公は、天下を取っていたと、今でも確信している多くの武田家の御霊と、その事を思いながら、酒でも飲みたいと思います。

人が生まれた時に、持っている性格や運勢が分かります。
これは、はっきり言って、すごいです

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