大河ドラマ風林火山 
第5話「駿河大乱」 寿桂尼


 大河ドラマの中で、今川家を動かしている人物の一人に、寿桂尼がいます。藤村志保さんが名演技しているので、皆さんの中でも、印象に残っている人多いと思います。だって、藤村志保さんの演じる寿桂尼さん、ただものではありません。

まず、上品で、高貴な方をイメージしますし、今川家を動かせるとてもしっかりしています。一体、何者と思った人も多いと思います。女性の中には、すてきと思った人も多いと思うのです。

しかし、実は、寿桂尼さんに関しては、菊自身、21世紀になるまでは知りませんでした。

というのも歴史小説も、女性の時代です。今までは、信長や秀吉、信玄といった男の歴史で、女性は、男の側にいるところが描かれていましたが、女性の作家の人も出て、女性の人を主人公にして、小説を書くようになりました。菊自身、寿桂尼は、永井路子の「姫の戦国」という小説の中で、描かれていた事で、始めて知ったのです。

また、そんな寿桂尼に関して、菊が少し紹介させて頂きますと、寿桂尼(じゅけい)は、永禄11 駿河国の戦国大名である今川氏親の正室として京都から来ています。家は、藤原北家、勧修寺流の公家の出自で、父は権大納言中御門宣胤。兄に中御門宣秀、姉は山科言綱の正室ということなので名門です。

子供も、13年に長男の今川氏輝、次男の彦五郎、1519年には5男の今川義元を出産しています。妻として、母として恵まれていたのです。でも、寿桂尼は、夫である氏親が、中風の病で動けなくなった事で、長い間、病床の氏親を補佐し、政治に関わるようになります。

この氏親が、亡くなる2ヶ月前には、戦国時代の代表的な分国法『今川仮名目録』を制定していますが、寿桂尼は大きく関わっています。この時に寿桂尼になっているのです。

 しかもその後も、長男の氏輝はまだ14歳という若年であり、氏輝が16歳になるまでの2年間は、寿桂尼が公的文書を発給し、今川氏の政務を取り仕切っています。この時に、「女戦国大名、尼御台」と呼ばれていたのです。

 また、寿桂尼さんの「女戦国大名、尼御台」の人生は、その後も、10年後、氏輝が、24歳で、謎の死を遂げたことで狂います。その上に、どう考えもおかしいのは、同じ日か、すぐに弟の彦五郎も謎の死を遂げていることです。寿桂尼は、二人の子供を亡くすという悲しみも経験しているのです。

しかしそれは、五男の梅岳承芳(義元)を還俗させ、氏親の側室が福嶋助春の娘で外戚にあたり、子の玄広恵探を擁立して対抗した福島氏を、花倉の乱で破ると、やっと晩年は、静かな余生になるかと思っていたら、24年後、義元が桶狭間の戦いで亡くなったことで、再び激動の時を迎えます。

義元の後を継いだ氏真は、今川家の当主としての力量がなく、徳川家などの多くの家臣に、離反され、急速にその勢力が衰えます。寿桂尼は、そんな中で、必死で、今川家を支えていました。菊は、義元がいない後、今川家は、すぐに崩壊していると思っていましたが、8年ももったのは、寿桂尼の力が大きかったと思います。寿桂尼が、今川家を、守っていたのです。

だから、この時の寿桂尼の気持ちを思うと複雑です。皇家の姫様として嫁いだ後、夫が病弱になった後の今川家を支え、長男、次男を、突然亡くした悲しみにも耐え、義元が亡くなった後の名門今川家を、必死に支えようとしていたのです。しかも、その甲斐もなく今川家は、滅びようとしています。寿桂尼は、その事が、よく分かっていたと思います。

そんな中で、寿桂尼は、武田家が今川家に侵攻する、少し前に死去しています。「死しても今川の守護たらん」という彼女の希望により、駿府館の東北、鬼門の方角にあたる竜雲寺に埋葬されたそうですが、やはり、無念の気持ちもあったと思います。

ただ、幸い、今川家は、滅亡した後も、氏真は生き延びて、徳川家が、江戸幕府を開いた時には、旗本になっています。徳川家康は、人質として、幼年の頃、今川義元の庇護を受けていた事に対しての恩も感じていて、今川家は、それ以後は、江戸幕府の高家として取り立てられずっと続くことになりました。菊としても、本当によかったと思います。今川家は、ずっと繁栄したのです。今は、寿桂尼のことを、藤村志保さんを通して、ずっと願いたいと思います。

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